HOME > 健康コラム > 企業・健保訪問シリーズ ~健康経営 事例紹介~ > 株式会社フォーバル

健康コラム

企業・健保訪問シリーズ
~健康経営 事例紹介~

昨今、「従業員の健康=企業の重要な資本」との考え方のもと、健康経営を実践する企業が増えています。「企業・健保訪問シリーズ ~健康経営 事例紹介~」では、さまざまな工夫で健康経営に成功している企業をご紹介していきます。

企業・健保訪問シリーズ
~健康経営 事例紹介~

株式会社フォーバル

社員が安心して働ける職場づくりを目指して

株式会社フォーバルは2018年には健康経営優良法人に認定された
通信機器産業健康保険組合のみなさん

 企業経営を支援する次世代経営コンサルタント集団である株式会社フォーバル。社是に「社員が安心して力を発揮できる『場』作りに努力する」という一節を掲げ、職場環境の改善や社員の健康づくりを行っています。とくに労働時間の適正化やメンタル疾患の予防、生活習慣病などの発生予防を重点課題として取り組み、2018年には健康経営優良法人に認定。認定に向けては、加入する通信機器産業健康保険組合から協力いただいたそうです。その具体的な取り組みについて伺いました。

※「健康経営」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

【通信機器産業健康保険組合概要】
加入事業所数:307社(2018年6月末現在)
加入者数:5万9604名 ※被扶養者2万4402名含む

──健康づくりに取り組まれるきっかけや背景などをお聞かせください。

フォーバル ▼


株式会社フォーバル
執行役員人事部長 川口 浩二 さん

 フォーバルでは、社是に「社員が安心して力を発揮できる『場』作りに努力する」という一節があります。また企業行動指針の「良好な職場環境の整備」の1つに、「健康的で効率的な職場環境の整備に努める」と明記しています。そこで、○テレワーク(在宅勤務・モバイルワーク・フリーオフィス)の実施○時間単位の年次有給休暇(時間有休)の促進○フリーアドレスの導入(決められた席は設けず毎日自由な席に座る)――など、さまざまな働き方を取り入れて改善を重ねています。

 また社員の平均年齢が上がり、経営環境が年々変化していることから、数年前に経営トップから「社員一人ひとりの健康度の向上を図り生産性を高めて、健康経営銘柄を目指そう」という声掛けがありました。健康経営優良法人2018への認定は、その第一歩と捉えています。

──具体的にはどのような取り組みをしていますか。


株式会社フォーバル
人事部人財企画課 担当課長 高田 博 さん

フォーバル ▼

 健康経営においては、①労働時間の適正化②メンタルヘルス等のストレス疾患の発生予防③生活習慣病などの発生予防――の3つを重点課題として掲げて取り組んでいます。

  • ①労働時間の適正化

     「7時間勝負!」という経営トップの言葉を合言葉に、就業時間に集中して仕事をするよう努力しています。もともとは「8時間勝負」と言っていましたが、有給休暇の取得率を上げるために、取得日数を時間に換算し7時間に改めました。「時間単位の年次有給休暇」を取り入れたところ、各部門で懇親会を開催したりスポーツを行ったりするなど、コミュニケーションを円滑にするために有効活用してくれています。残業をなくすためには、まず管理者に対して「なぜ残業させる必要があるのか」を問いかけるところからスタートしました。現時点で残業はゼロではありませんが、確実に減っています。

  • ②メンタルヘルス等のストレス疾患の発生予防

     わが社では、あいさつをするときに握手するという習慣があります。毎日握手をしてあいさつしていると、目が合わない、握り方が弱いなど、変化に気が付きやすいというメリットがあります。いつもと違うと感じたときには、困っていることはないかなど声をかけるようにしてメンタル不調の予防に努めています。

     これまで社員にメンタル不調者が出た場合には、人事部の社員が対応していました。しかし、こうした対応にはかなりの時間を要することから、対応している人事部の社員が不調者のネガティブな感情に引っ張られてしまう傾向が見受けられました。一方で相談者側も社内で対応するよりも相談しやすくなるのではと考え、相談業務をアウトソーシングして専門家に任せることにしました。海外赴任者も利用できるようにしたところ、慣れない土地で言葉もうまく通じないところで生活する家族が多く利用してくれています。


  • 株式会社フォーバル
    人事部労務課リーダー 藤沼 克行 さん

    ③生活習慣病などの発生予防

     生活習慣病などの発生予防では、全国の事業所で全面禁煙を実施しています。それでも喫煙者は外にタバコを吸いに行ってしまいますが、だんだんとそれが面倒になって禁煙に向かってくれたらという期待も込めて行っています。また健康リテラシーの向上を図るために、産業医による健康教室を実施しています。直近では、ストレスチェックの結果表の見方をテーマに行いました。各事業所の会議室などで実施していますが、内容によって関心のある社員が自発的に参加しています。

 こうした取り組みは、全国の事業所ごとに衛生委員会を設置して実施しています。各事業所における独自の取り組みは、人事部を通じて情報の共有を図り、好事例については、全事業所に展開しています。たとえば、ビルの上階に事業所がある場合には、曜日を決めてエレベーターを使わずに階段を使って帰る日を設けたり、自宅が同じ方向の人でグループを作り、目的の駅を決めてそこまで歩いたりしています。この取り組みは、防災訓練の一環にもなるため、全国的に広がりつつあります。もともと実力主義を掲げている会社のため、ウオーキングの歩数を競い合うイベントなどを仕掛けると、歩きすぎではないかというほどの結果が出ます。社員の競争心が刺激されるようです。

──保健事業について、どのような事業を展開されていますか。


通信機器産業健康保険組合
事務長 遠藤 猛 さん

健保組合 ▼

 保健事業は、健康診断、特定保健指導の実施、要治療者に対する受診勧奨やインフルエンザの予防接種の補助を行っています。また健康相談窓口を設置したり、東京都総合健康保険組合協議会(東総協)や東京都総合組合保健施設振興協会(東振協)といった総合健保が加入する団体が主催するスポーツ大会や健康フェスティバルなどに参加したりしています。

 近年は企業における健康経営への関心が高まり、事業所から健康企業宣言や健康経営優良法人の認定に対する問い合わせが増えてきました。事業所が各々社員に対する健康づくりを実施してくれることは、保健事業の推進においても効果的・効率的です。そこで積極的に後押ししていくためにも、まずは健保組合が健康経営優良法人の認定を受けるべきだと考え、実行しました。健保組合として認定を受けたことによって、事業所に対してアドバイスしやすくなっただけでなく、健保組合が実施してきた既存の事業の振り返りとしても役立ちました。


通信機器産業健康保険組合
企画部長 黒木 健一郎 さん

 健康経営優良法人に認定されると採用活動にも有利であることから、関心がある事業所では健康宣言に向けてすぐに動き出してくれる場合もあります。そのため、個々の事業所を訪問するなどして働きかけています。認定を受けると、名刺などに「健康経営優良法人」のロゴマークを印字できることもアピールポイントの1つになっています。

──健保組合と協働して行っていることや役割分担などはありますか。


通信機器産業健康保険組合
総務部総務課係長 藁谷 奈穂 さん

フォーバル ▼

 今回健康経営優良法人の認定を受けるために、書類の作成や日々の情報交換など、健保組合にバックアップしていただきました。また健保組合が主催する勉強会や懇親会には必ず出席するようにしています。役職者同士のつながりだけでなく、担当者同士のコミュニケーションを図ることを目的とした懇親会も開催しています。

 また健康診断などの結果をもとにした分析による健康づくりのアドバイスも役立っています。健保組合は、以前にも増して事業所に対して医療費抑制のための働きかけを行うようになったと感じています。健保組合が安定した運営を続けていくためにも、加入する事業所としてできる限り協力していきたいと思っています。

──現状の課題や今後の展開についてお聞かせください。

フォーバル ▼

 社員の健診受診率を100%にし、それを維持することが目標になっていましたが、何のために受診にするのか本来の目的を伝えるようにしたいと思います。そうすることで、家族の健診受診率の向上につなげていけるのではないでしょうか。

 また保健指導の対象となった社員に対する指導実施率の向上も課題です。たとえば医務室などの設備はありませんので、保健指導を業務時間内に会議室などで行うと、他の社員に知られたくない社員は指導を受けにくいといった問題があります。こうした問題を解消して、社員が健康を維持増進しやすい環境をつくっていきたいと思います。

株式会社フォーバル 執行役員人事部長 川口 浩二 さん
「社員の働く環境をよりよくすることが、一人ひとりの生産性の向上につながっていくのではないでしょうか」

株式会社フォーバル 人事部人財企画課 担当課長 高田 博 さん
「健康経営銘柄の取得を目指して、健康づくりの体制を強化していきます」

株式会社フォーバル 人事部労務課リーダー 藤沼 克行 さん
「健康企業宣言では、『金の認定』に向けて、被扶養者に対しても取り組みを拡大しようと思っています」

通信機器産業健康保険組合 事務長 遠藤 猛 さん
「今後は健保組合の職員に対する教育にも力をいれていこうと考えています」

通信機器産業健康保険組合 企画部長 黒木 健一郎 さん
「事業所の健康企業宣言の取り組みが拡大していくよう働きかけを強化しています」

通信機器産業健康保険組合 総務部総務課係長 藁谷 奈穂 さん
「職員のモチベーションを維持できるよう、さまざまな施策を考えていきたいです」

健康コラム
KENKO-column

HOME > 健康コラム > 企業・健保訪問シリーズ ~健康経営 事例紹介~ > 株式会社フォーバル