健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.94
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
沈みがちな親へのアプローチ
体調を崩したときなどに「生きていてもしょうがない」とネガティブな言葉を連発する親がいます。特に、寒くて日の短い冬場は、その傾向が強く出ることもあるようです。
1人暮らしをするT美さんの母親も、秋から冬にかけて調子が下向きになることがあります。「父が亡くなった3年ほど前からでしょうか。寒くなると電話の回数が減り、私からかけても、『足が痛い』『早く、お父さんのところへ行きたい』と暗い声で……」とT美さん。母親のかかりつけ医に相談したところ、「規則正しい生活が何より大切」と、公園で行われているラジオ体操への参加を提案されました。
「母が暮らす地域では、毎朝、夏場は6時半から、冬場は7時から地域の人が30人ほどで体操をしていることが分かりました。先日、帰省した折に母を連れて行ってみました」とT美さん。母親の知り合いも3人ほどいたそうです。T美さんは「あれから2週間ほどになりますが、ほぼ毎朝出かけているようです」とにっこり。
毎日行ければ理想的ですが、週に数回でも、出かけて身体を動かすと、生活にリズムが生まれます。多くの自治体で、要介護になることを予防する観点から、ラジオ体操のほか、ストレッチ教室や歩き方教室などを実施しています。教室の所在は地域包括支援センターに問い合わせれば教えてくれます。1人では行くことをちゅうちょしがちなので、まずはT美さんのように帰省時に付き添ってみてはどうでしょう。