健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.67
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
シルバーカー?歩行器?
足腰の具合いが悪くなってくると、日常の買い物に不自由が生じることがあります。重い荷物を持つのが難しい、という親も少なくありません。
M子さんの母親(80代)は、実家で1人暮らし。介護保険は「要介護1」の認定を受けています。最近、近所に買い物に出かけるのが大変になってきたそうです。往路は問題ないのですが、復路は荷物が重くて……。そこで、買い物カゴや休憩用のイスが備わった「シルバーカー」の利用を検討しています。介護保険で安く利用できないかと調べたところ、「歩行器」であればレンタルできることが分かりました。ところが、母親は「デザインが嫌だ」の一点張り。
一見似ているシルバーカーと歩行器。シルバーカーは自立歩行が可能な人のために設計されており、介護保険は適用外です。コンパクトなものやデザイン性重視の商品もあります。一方の歩行器は、自立歩行が難しい人を対象に設計されており、シルバーカーよりもしっかり身体を支えることができます。
シルバーカーの価格帯は2万円前後が中心です。自治体によっては、「介護保険外サービス」として、購入費の補助をしているところもあります。
買い物が大変になると、ホームヘルプサービスや宅配サービスに目を向けがちです。もちろん、そうしたサービスも役立ちますが、自ら出かけることが身体機能の低下を予防したり、なにより、親にとって「楽しみ」になっていたりすることも。ケアマネジャーとも相談しつつ、適した商品を賢く活用したいものです。