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離れて暮らす親のケア vol.64

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

老々介護を、どう支える?

親が老いてくると、別居を続けることに罪悪感を抱く子は少なくありません。「離れて暮らす親のケア」の連載をしている私でさえ、ふと、親に対して後ろめたい気持ちになることがあります。

先日、Aさんという男性の話を聞きながら、「なるほど」と頷くことがありました。Aさんは遠方の実家で暮らす両親のもとに、月に2回の通い介護を続けています。90代の父親は要介護2。母親は認知症で、どちらかといえば、家のことは父親が行っているそうです。両親とも医者嫌いのうえ、なるべくなら介護保険のサービスも利用したくないという考え方の持主。施設に入るという選択肢はないようです。ホームヘルプサービスの入っていない在宅での老々介護、しかも介護者が「要介護2」と聞くと、他人事ながら不安になります。

そんな心配を振り切るように、Aさんが言いました。「遠距離介護って、悪くないと思うんです。2人で暮らしているから、なんとか彼らなりに自立した暮らしができている」。確かに、身近にいれば父親が買い物に行こうとするときに、「私が行くから」と言ってしまいそうです。ご飯を炊いたり、味噌汁を作ったりする家事も、子どもが行うことになるかもしれません。

Aさんは帰省する際に、ケアマネジャーに訪問してもらい、不安なことを相談するようにしているそうです。なんとかバランスを保っている両親の2人暮らし。もちろん、こういう支え方ができるケースばかりではありませんが、「罪悪感」どころか、ご両親は幸せだと思いました。

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