健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.62
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
「在宅」を続けるための施設とは
親の多くは、「介護が必要になっても、この家で暮らし続けたい」と住み慣れた家での生活を願っています。一方、離れて暮らす子からは、「大丈夫なのだろうか」と不安の声が聞こえてきます。じつは、当の親本人からも、「体調の悪い日の、とくに夜間は心細い」という本音を聞くことが少なくありません。
Gさんの母親(80代)は、実家で一人暮らしをしています。介護保険では「要介護2」。デイサービスとホームヘルプサービスを利用していますが、寝込むこともあります。Gさんは海外出張することもあり、母親のことが頭の隅から離れないと言います。「たまたま読んだ本で、『小規模多機能(型)』という施設があることを知りました。地域包括支援センターに聞いてみたところ、実家の近所にもあるというので見学に行きました」。このサービスは、利用者の選択に応じて、施設への「通い」を中心として、短期間の「宿泊」や利用者の自宅への「訪問」を組み合わせて利用するものです。ただ、これまで利用していたケアマネジャー、それにデイサービス、ホームヘルプサービスを利用できなくなります。ケアプランは施設のケアマネジャーが担当します。当初、母親は躊躇しましたが、Gさんの海外出張中には宿泊もできると説明すると、利用を決意しました。
これは、住み慣れた地域での生活を継続することを支援する介護保険の「地域密着型サービス」に分類されています。「在宅」へのこだわりが強いケースでは、検討してみるといいでしょう。数は多くありませんが、訪問看護も組み合わせた「看護小規模多機能型居宅介護」もあります。