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離れて暮らす親のケア vol.48

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

施設費用は何年分の準備が必要か

介護にかかる費用は、要介護者本人のお金があるなら、それを充てることが基本だと思います。とはいえ、たとえば親に1000万円の蓄えがある場合、10年で使うなら100万円/年ですが、20年で使うなら50万円/年となり、予算立ては容易ではありません。

1年ほど前、Mさんの母親(87歳)は病気で入院しました。1カ月程で退院。しかし、入院前のようにひとり暮らしを継続することは難しく、本人も同意したので、有料老人ホームに入居することにしたのですが…。「お金の計算方法に悩みました」とMさんは打ち明けます。母親の年金だけでは、月々の利用料を賄うことはできません。そこで、預貯金の一部を取り崩して充当する必要がありました。

この先、母親が在宅に戻ることは考えにくいので、あと何年生きるかと計算する必要があります。5年なのか、10年なのか…。「親の余命を数えるようで、母に申し訳ない気持ちになりココロが痛みました」とMさん。

現在、100歳以上の高齢者は6万人超。今年度から、厚生労働省は敬老の日に100歳のお祝いに贈る「銀杯」を純銀性から銀メッキに変更するのだとか…。100歳を迎えることが特別なことではなくなったということでしょう。

施設介護に限らず、在宅介護でもお金は必要です。よほどのお金持ちでない限り、お金の計算は必要です。緊急時に使える予備費を確保したうえで、罪悪感にはそっと蓋をして、“100歳”をひとつの目安と考えて計算してはいかがでしょう。

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