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離れて暮らす親のケア vol.42

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

“ぽっと出症候群”とは

私が遠距離介護を支援するNPO活動をしているというと、ぎこちない笑みを浮かべる医師がいました。「遠くに暮らす子どもは、年に1、2度突然やってきて、治療法がどうだとか、こうだとか言うんだよね。普段の状況を何も理解しないまま」。どうやら、その医師は遠方に暮らす子にネガティブな印象を抱いているようです。医療の現場では、こういう子を「ぽっと出症候群」と呼ぶのだとか。

確かに、離れて暮らしていると、心配ばかりが先に立ち、本やネットで仕入れた頭でっかちの情報で介護の現場をかき乱すことがあるのかもしれません。

会社員のTさん(50歳代)は、2〜3カ月に1度は帰省の際に母親の通院に付き添うようにしています。「忙しくて3カ月以上間があいてしまうと、医師に電話をして母の具合を尋ねるようにしています」とTさん。もちろん、医師には電話を掛けても迷惑にならない時間帯を確認しています。定期的に医師とコミュニケーションの確保ができているので、母親の状況は概ね把握。逆に、急に母親の具合が悪くなった時には、医師からTさんに電話がかかってくることも。何かのときには、互いに、連絡を取りあえる信頼関係が大きな安心につながっています。恐らく、その安心感は母親にも伝わっているでしょう。

Tさんの母親に限らず、私たちの親も、医師をはじめ地域でさまざまな人たちに支えられているはず。時々は、その現実を想像してみましょう。くれぐれも「ぽっと出症候群」と呼ばれないように。

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