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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.152

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

意思疎通とれず「お金」に困った!

親が倒れるのは突然です。心積もりがないままにその日が訪れると、子は慌てることになります。

Kさん(男性50代)の父親(80代)は自転車に乗っていて車にはねられました。Kさんには姉と弟がいますが、それぞれ独立し、きょうだいがそろうのは正月くらい。母親は10年以上前に他界しており、父親は1人暮らしでした。

実家近所の親戚から、父親が病院に救急搬送されたと電話が入り、Kさんは病院に駆け付けました。しかし、それから3カ月、亡くなるまで父親の意識が戻ることはありませんでした。一番困ったことは、病院の支払いだといいます。「なぜだか、支払いの話になると姉と弟は結束し、『こういう時は、長男が支払うべき』と声をそろえました。納得できませんでしたが、仕方ありません。葬式費用まで立て替えが続き大変でした」とKさん。

入院中、個室に入っていたため、保険外の費用もかさみました。「父の預金口座から出金しようと銀行の窓口に行きましたが、『委任状がなければ、出金できません』とけんもほろろでしたよ」。

通常、家族が負担した入院費用や葬儀費用は、遺産分割協議で清算します。立て替える際にはきょうだいに同意を求め、領収書などをきちんと残すことが大切です。Kさんの場合は、きょうだい仲が良かったので立て替えたお金はスムーズに戻ってきましたが、もめることもあります。何より、ベッドに横たわる親を見ながらお金の心配をするのはつらいものです。医療や介護にかかる費用をどうするか、親が元気なうちに家族間で話し合っておきたいものです。

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