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健康コラム

離れて暮らす親のケア vol.148

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

認知症の母親がテレビ通販で次々購入

テレビ通販が盛況のようです。商品の効果をあの手この手で解説してくれるので、「へーっ、すごい!」と見入ったことがある人は多いのではないでしょうか。

隣県で1人暮らしをするTさん(男性50代)の母親(81歳)は、軽度の認知症と診断されています。介護保険のサービスを利用し在宅で過ごしています。「2カ月ほど前、母親のケアマネジャーから連絡がありました。母親がテレビ通販で物を買っていることを把握しているか」って。Tさんにとって寝耳に水で、すぐに実家へ。母親に話を聞くと、「こんなのを買えた」と嬉しそうに〝鍋〟を見せてくれました。「1つならいいのですが、パッケージのままの鍋やフライパンもあって絶句しました」とTさん。

テレビ通販はクーリングオフ制度の対象外です。不意打ち的な勧誘によるものではなく、本人が番組を見て本人の意思で購入したものだからです。返品については個々の業者の特約で決められています。特約がない場合は、商品を受け取った日を含む8日以内であれば、購入者が送料を負担し返品できます。

本人には、「購入したいものがあれば、事前に連絡をして」とお願いしてみましょう。怒り口調で言うと、困ったことが起きても相談してくれなくなるので冷静に。また、今後の対策について、主治医やケアマネジャーにも意見を求めましょう。似た事例は多いので、何らかのすべを考えてくれると思います。今後、認知症の進行度合いによっては、施設への入居や、判断能力が不十分な人が行った契約を取り消すことができる成年後見制度の利用も選択肢となるかもしれません。

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