健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.147
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
介護休業93日って短すぎる!?
介護を行う場合、対象家族1人につき通算93日まで休業(・・)できることが法律で規定されています(最大3分割可)。けれども、育児休業と比較し「短すぎる!」という声を聞くことがあります。
Hさん(女性50代)の父親(88歳)は実家で1人暮らしです。半年ほど前から体力が低下。外部サービスを使いたがらないため、頻繁にHさんが帰省。そのたび、有給休暇を使っているそうです。「勤め先の人事から介護休業の説明はありましたが、93日しかないなんて使えない!」とHさんは不満そうに話します。「育休と同じく1年くらいにしてほしい。このままじゃ、いずれ離職しかない」と……。確かに、法律より長く1年とか2年とか休業できるようにしている企業もあります。
しかし、長く設定しても介護が終了するとは限りません。そもそも、介護休業は、介護に関する長期的方針を決め、体制を整えるための期間として位置づけられています。例えば、親が「介護サービスなんか必要ない」と拒否するなら……。一定期間休業をとって、ホームヘルプサービスを利用する際にそばにいたり、 デイサービスに付き添ったりして外部サービスに慣れてもらうのも一案です。施設探しの時間に当てる人もいます。
介護はいつまで続くか先が見えません。離職すれば経済面はもちろん、精神面や肉体面も負担が増すという報告もあります。1日または時間単位で取れる介護休暇や短時間勤務制度などもあります。人事やケアマネジャーともよく話し合い、使える制度やサービスをトコトン活用して離職は思いとどまりたいものです。