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離れて暮らす親のケア vol.131

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

入居後に「帰りたい」と訴える

離れて暮らす親が高齢者施設に入居すると、「これで安心」と胸をなで下ろすのではないでしょうか。ところが、入居後間もなく、「帰りたい」と強く訴えるケースが珍しくありません。

Oさん(男性50代)の両親(80代後半)は遠方の実家で2人暮らしでした。母親は腕をほとんど動かせず、家事は父親が担っていました。着替えや入浴、食事などにも介助が必要です。しかし、母親はデイサービスを嫌がり、ホームヘルパーが来ることも拒否していました。とうとう、介護に疲れ果てた父親が寝込んでしまい、OさんにSOSの連絡がきました。Oさんは「これ以上は、父親に無理をさせられない」と、有料老人ホームを探し、半ば強引に母親を入居させたのです。しかし、入居後1週間もしないうちに、母親はタクシーに乗って、自宅に戻ってきてしまいました。

仕方ないとはいえ、そうまでして嫌がられると子としては、親不孝をしているようで切ない気持ちになります。

強引に入居を押し進めると、納得感がないために「帰りたい」願望を助長することもあります。ケアマネジャーにも同席してもらった上で、本人にしっかり話しましょう。医師から話してもらってもいいでしょう。どうしても理解を得られない場合、少々荒療治になりますが、例えばOさんの場合だと、「父親が介護疲れで入院することになった」と、母親に話してみるのも一案です。一時期、父親をOさん宅に避難させれば、母親は、サービスなしでは生活が成り立たないことに気付くでしょう。こうした事態はなるべく避けたいですが、〝嘘も方便〟という諺(ことわざ)もあります。

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