健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.121
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
在宅復帰の橋渡し!?
親が病気やケガで入院した場合、入院中はもとより退院後のことも気に掛かります。昔に比べて入院できる日数が短くなっているからです。
Mさん(40代女性、神奈川)の母親は九州の実家で父親と2人暮らし。病気で入院しましたが、手術から半月後には退院予定だとか。しかし、父親も母親の看護を任せられるほど元気とはいえません。とはいえ、Mさんも弟も仕事があるので、長いスパンで実家に滞在することは難しい状況です。「母は家に帰りたがっていますが、施設に入れるべきなのか……」と悩んでいました。
確かに、退院と同時に高齢者施設に入居するケースも珍しくありません。しかし、リハビリなどに励めば自宅に戻れるほどに回復することもあるでしょう。そこで〝転院〟を含めた次の対応を検討してみては。急性期治療を終了後に、在宅への橋渡しを行う病棟があります。第1候補は「回復期リハビリテーション病棟」。1日最大3時間、専門的なリハビリを受けることができます。ただし、誰でも入院できるわけでなく、制度上「入院できる期間」や「対象となる疾患」が定められています。第2候補は「地域包括ケア病棟」。急性期病院での治療後に最長60日間入院できます。一方、介護保険で入る「老人保健施設」も、3カ月ほどをめどに入居して在宅復帰を目指します。
いずれを検討する場合も、現在入院中の病院の医師や医療ソーシャルワーカーとよく相談しましょう。転院できれば、時間的なゆとりが生まれるので、その間に、今後の暮らし方について、準備を進めることができます。