健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.119
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
介護に必要な〝援助希求力〟
悩みを誰かに話したり、助けてほしいと求めたりすることを〝援助希求〟といいます。これって、得意な人と不得意な人がいると思うのです。親の介護を巡って課題が出てきたときに「どうしたらいいと思う?いい方法ない?」と周囲に助けを求めるのは得意なタイプ。一方、「家族のことだから」と自分だけでなんとかしようとするのは不得意なタイプ。
Mさん(女性60代)はトップレベル(?)で、〝援助援助希求〟に長(た)けた女性です。母親は遠方の実家で1人暮らしをしていました。要介護度が重くなり、特別養護老人ホームに入居を申し込んだときのことです。申込者が多くて〝待機〟に。そこでMさんは、会う友人、知人ごとに「困った、困った」と言いました。すると、友人の1人が家族に話したところ、大工職人の夫が「いまの現場、特養だよ」と。Mさんはすぐさまその情報を母親の担当ケアマネジャーに伝えました。ケアマネジャーが即行で調べてくれ、建設中の新設特養だと判明。「即申し込み、オープンとともに入居できました。困った、困ったと誰かれ構わず言ってると、助けてくれる人がいるものですよ」とMさんはにっこり。
周囲に助けを求めるのは、ハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。そもそも何に悩んでいるのか、言語化することが難しいケースもあるでしょう。そんなときも、誰かれ構わずじゃなくても、介護のプロである地域包括支援センターのスタッフやケアマネジャーに「困っているんです」と告げてみませんか。きっと、話を聞き、悩みの正体を突きとめた上でサポートしてくれるでしょう。