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離れて暮らす親のケア vol.118

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

介護離職で9060問題!?

離れて暮らす老親が倒れた場合、仕事を辞めてUターン介護を行うケースがあります。いわゆる〝介護離職〟です。しかし、その先には課題が……。

Tさん(男性61歳)は、母親が亡くなり、父親が1人暮らしとなった6年前、実家に戻りました。55歳のときです。実家に戻った当初はアルバイトをしましたが、そのうち無職になり、父親の年金で生活。足りない分は、蓄えを取り崩していました。その父親が91歳で死亡。当然、父親の年金はストップしました。蓄えもこの6年間で心もとない額に。65歳からもらえる自分の年金を繰り上げ受給しようかと迷っています。「でも、かなり減額されるので、長い老後を考えると……」とTさん。いったん繰り上げ受給すると一生涯減額されたままです。

Tさん親子の関係は、まさに〝8050問題〟です。80代の親の年金で50代の子が生活、親が亡くなったあと、子はどのようにして生きていくのか。なかには、〝引きこもり〟の中高年の子を老親が支えているケースもあり、社会問題となっています。Tさんのところがそうであったように、双方が年齢を重ね、やがて〝9060問題〟に進展。社会から孤立し、生活に困窮。孤独死や親子共倒れに行き着くこともあります。

もちろん、介護離職の全てが〝9060問題〟に移行するわけではありません。しかし、仕事を辞めれば経済基盤をなくします。誰しも100歳超まで生きる可能性は十分にあり、生きるためには、お金が必要です。なるべく自分自身のライフスタイルを変えない形で、親の介護と向き合いたいものです。

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