健康コラム
離れて暮らす親のケア vol.115
NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。
【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子
親の医療情報をまとめておこう
親が自宅で体調を崩して、119番通報するとします。しかし、到着した救急隊員から病歴その他を問われても、本人が説明できるとは限りません。
Tさん(女性50代)の離れて暮らす母親(80代)が倒れたときも、本人が救急車を呼ぶことはできたものの、救急隊員が来たときには意識を失くしていたそうです。幸いなことに、電話機の横に「緊急通報先」として、Tさんの携帯番号を大きく書いて貼っていたので、病院からTさんに連絡がきました。「でも、母親が普段どんな薬を飲んでいるかと聞かれても、答えられなくて…」とTさんは当時を振り返ります。
そんなときに役立つグッズに「緊急医療情報キット」があります。「緊急連絡先」や「既往症」、「服用中の薬」「健康保険証(写)」「診察券(写)」などをセットにして専用の容器に入れておくものです。けれども、せっかく準備しても、どこかにしまい込んでしまうと、救急隊員は見つけ出すことができないでしょう。そこでキットは〝冷蔵庫〟に収納。冷蔵庫ならどこの家にもあるうえ、すぐに見つけ出すことができるからです。
多くの自治体で高齢者に「緊急医療情報キット」を無料配布しています。役所の高齢者福祉の担当窓口や地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。ネットで「緊急医療情報キット」と検索すると手作りする方法を紹介するサイトを見つけることもできます。ネット通販でも売られています。
キットを使わない場合も、いざというときに備え、親の医療情報を把握しておきたいものです。