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離れて暮らす親のケア vol.113

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

1人暮らしはかわいそう?

離れて暮らす老親が1人暮らしをしていると、子としては気がかりなものです。知人などに話そうものなら、「かわいそう」「一緒に暮らしてあげれば?」と言われることが多いのではないでしょうか。

Yさん(女性50代)の母親(80代)も実家で1人暮らし。Yさんはコロナの影響で、ほぼリモートワークとなったのを機に、パソコンと身の回りのもの一式を携えて実家へ。「私はシングルなので、身軽なんです。母も私と一緒のほうが安心だろうと思って実家での生活にシフトしたのですが…」。1カ月のうち3週間を実家で過ごすようになりました。ところが、3カ月目を迎えたころ、母親からまさかの発言が。「いつまで、いるの?」と…。

腹を割って話したところ、母親が不満に思っていることが判明。「あなたが仕事をしていると思うと、テレビのボリュームをあげられない。ご近所の友達も、気を使って訪ねてこなくなった」と母親は言います。

「最初は驚きましたが、考えてみれば実家で過ごすといっても、私は、ほとんど仕事をしているし、『親孝行』の押し付けだったのかもしれません。母には母の生活があったのですね」とYさんは自嘲気味。それから間もなく、Yさんは自宅中心の生活に戻したそうです。

親の性格にもよりますが、「1人暮らしはかわいそう」は子の思い込みの可能性も。気楽な生活を楽しんでいる親もいます。親に対し何か行動に移す際には、事前にしっかり話し合いましょう。親と子、それぞれの暮らし、そして生き方を大切にしたいものです。

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