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離れて暮らす親のケア vol.107

NPO法人パオッコ理事長の太田差惠子さんが、親と離れて暮らす子の介護に関する悩みや不安について、事例を交えながら親のケアを考えていきます。

【コラム執筆】
NPO法人パオッコ
~離れて暮らす親のケアを考える会~
理事長 太田差惠子

冬場に多い入浴事故

新型コロナ感染症の影響で、思うように実家に帰省できない人が増加しています。実家に泊まると、「浴室が寒い」など、さまざまな気付きがあるものです。何らかの危険を察知すれば、親に注意をするでしょう。

Fさん(女性50代)の母親は実家で1人暮らしです。年末に電話をかけたのですが、母親は一向に受話器を取りませんでした。不審に思い、Fさんは実家近所の親戚に連絡。様子を見に行ってもらったところ、母親は浴室で倒れていました。発見が早かったため、幸い、命は助かりましたが……。「実家の浴室は北側で寒くて。デイサービスを利用し、そこでお風呂に入らせてもらおうと話していたのですが、コロナでのびのびになっていました」とFさん。「しばらく帰省していないので、話し合えなかったんです」と言います。

「不慮の溺死」などによる高齢者の死亡者数は毎年11~4月の冬季を中心に増えます。「交通事故」による死亡者数よりも多いそうです。事故の大きな原因は「ヒートショック」だといわれています。暖かい部屋から温度の低い脱衣所、浴室内に入ることで血圧が上がり、その後、温かい湯に入ることで血圧が低下。この急激な血圧の変動によって意識を失い、溺(おぼ)れてしまうのです。

まだまだ寒さが続きます。入浴前には、脱衣所や浴室を暖め、湯温は41度以下、湯につかる時間は10分まで。食後すぐや、飲酒後の入浴は避けて、浴槽から急に立ち上がらないこと。帰省回数が減っているいま、例年以上に、気掛かりなことがあれば電話などで親に注意喚起したいものです。

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