健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.95
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
手術した病院で解剖不可! 死因究明はできないの?
相 談84歳の父が自宅で転倒し、救急車で病院に運ばれました。検査の結果、大腿骨(だいたいこつ)が骨折していると分かり、1週間後に手術の予定となりました。手術までは安静を強いられたのですが、意識ははっきりしていて食事も摂り、動けないだけで結構、元気にしていました。
そして予定通り昨日、手術が行われ手術自体は成功したと説明を受けたのですが、その直後に急変し、30分間の救命措置を受けたものの死亡してしまいました。医師の説明によると、心筋梗塞(しんきんこうそく)だと診断する際の心筋マーカーという複数の検査に反応が出ているので、死因は心筋梗塞だろうとのことでした。
医師から「心筋梗塞になった原因は分かりません。死因究明のためにも解剖を希望されますか?」と聞かれましたが、私(長女)は動転していて、とっさに「解剖なんて結構です」と断ってしまいました。
しかし、昨夜、兄と妹、夫と話し合った結果、心筋梗塞を起こした原因をはっきりさせたいということになり、今朝、病院に「やはり解剖してもらいたいのですが」と連絡しました。すると電話に出た事務の人が「当院では解剖できないので、どうなるか分かりませんが」と言われて、今は回答待ちです。この場合、解剖は難しいのでしょうか。
回 答山口育子(COML)
手術直後の急変による死亡なので、「医療に起因した」「予期せぬ死亡」として、医療法に則って医療事故調査・支援センターに報告する可能性が高いと思います。その場合、原則、外部委員を入れた院内調査をして、遺族に報告することになっています。各都道府県には、医師会などが中心になって、医療事故調査制度の「支援団体」があり、医療機関からの相談を受け、自院で解剖できない場合の調整や外部委員を紹介してくれます。また、報告している場合は、院内調査だけではなく、遺族からセンターに第三者調査を依頼することも可能で、費用は2万円です。
まずは病院に医療事故調査制度に報告するかどうかを確認しましょう。報告しないと言われた場合はセンターに相談すると、病院に文書を送ってくれることもあるので、相談してみましょう。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え
提供:健康保険組合連合会
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:20~17:40
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify