健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.94
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
予後の短い高齢の母へ 病状の伝え方、どうしたら理解される
相 談78歳の母が骨髄線維症(こつずいせんいしょう)と診断されて、担当の医師からは「予後不良群なので、あと半年ぐらいの命でしょう」と言われています。母には病名だけは伝えたのですが、その後は何をどこまで伝えればいいのか戸惑っていました。そのことを外来の看護師に相談したところ、「当院にはがん相談支援センターがあるんです。骨髄線維症はがんではないけれど、病状や予後についてどのように伝えればいいか相談に乗ってくれると思うので、一度、訪ねてみてはどうですか?」と教えてもらいました。そこで、先日「がん相談支援センター」に行ってみました。「骨髄線維症の母のことで相談したいのですが」と言ってみたところ、がんに関することではないのに、快(こころよ)く相談に乗ってもらえました。そして、「アドバンス・ケア・プランニング、ACPと呼ばれているのですが、『人生会議』という愛称の取り組みがあるんです。まずは読んでみてください」と言ってACPのパンフレットを下さいました。
帰宅してパンフレットを読んでみたのですが、78歳という高齢の母が自分の病状を理解したり受け止めたりできるのだろうかと不安を感じています。その上、自分が受ける医療やケアについて意思表示をするなんてハードルが高い気がするのですが。
回 答山口育子(COML)
ACPは、人生の最終段階で患者さん自身が自分の状態を知り、どのような医療やケアを受けたいか意思表示をして文書に残す作業のことです。ただし、それは患者さんが1人で行うのではなく、家族や医療者と話し合い、サポートを受けながら行っていきます。一度、意思表示をしても、気持ちが揺らいだり変化したりすることはあるので、繰り返し話し合うことになっています。確かに高齢になると理解力や判断力は低下しがちですが、やはり本人でないと分からない「希望」は誰にでもあります。ACPは早過ぎても、遅過ぎても意思決定が難しくなる問題点がありますので、タイミングを逸しない実施が必要です。
どのようなスタッフが具体的にサポートしてくれるのか確認しながら、よく相談して進めていってはいかがでしょう。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え
提供:健康保険組合連合会
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:20~17:40
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify