健康コラム

賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.93

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。

【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子

もっと早く検査をしていれば… 病院を訴えることはできますか?

相 談44歳の娘が3年前に乳がんを発症し、右乳房を全摘する手術を受けました。手術の後は抗がん剤治療を受け、現在はホルモン療法中です。

昨年から背中の痛みと手に力が入らなくなったらしく、主治医にその症状を伝えていたのですが、「運動不足なんじゃないかな?」とのんびりとした回答だったそうです。しかし、症状が続いたので先日、PET-CT検査をしたところ、肝臓と骨に転移が見つかりました。脳転移の疑いもあるらしく、今度MRI検査を受ける予定になっていると娘から聞きました。

娘には中学2年生と小学5年生の息子がいて、シングルマザーです。別れた夫からの養育費は多少あるものの、働きながら一人で子どもを育てています。それだけに、転移が見つかったことに非常にショックを受けています。死も覚悟し始めているらしく、自分がいなくなった後の息子たちの世話についての相談を受けています。孫のことも心配ですが、そんな娘が不憫(ふびん)でならず、私自身、夜も眠れない日々が続いています。

昨年から症状があったのに、検査をしなかったのは病院のミスなのではないでしょうか。もっと早くに検査をしていれば、早期に転移が見つかったのではないかと思います。訴えるにはどうすればいいのでしょうか。

回 答山口育子(COML)

母親としては、まだ40代の娘さんに肝臓や骨への転移が見つかり、脳転移の可能性があると聞かされると絶望的になり、早くに見つけてくれなかった医師を責める気持ちにもなるのだと思います。ましてやシングルマザーで、10代前半の息子さんが2人いるとなると、心配だけでは済まされない気持ちでしょう。

ただ、再発や転移を疑ってどれぐらいの頻度で検査をするのか、何らかの症状が出てきたときにどれだけ転移を疑うかは医師によって判断が異なります。いち早く検査をしなかったことを医療ミスと断定するのは、かなり難しくもあります。また現在は、転移があってもさまざまな薬を使って長く付き合っていく患者さんも増えています。まずは今後の治療などについて、医師と冷静によく相談することが大切ではないでしょうか。

認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)

「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ

詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/

電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え

提供:健康保険組合連合会 
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:20~17:40
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify

バックナンバー