健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.92
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
先発医薬品で特別料金が発生! なぜ払わなければならないの?
相 談私(63歳・男性)は、10年ほど前から高血圧で近くの内科クリニックに通院しています。そのクリニックでは5年前まで院内処方だったのですが、院外処方に変更になりました。
かかりつけ医であるクリニックの院長は、以前から一切、後発医薬品(ジェネリック医薬品)を使わない方針でした。ある時その理由を聞くと、「MRと呼ばれる製薬会社の医薬情報の営業担当者が少ないし、供給が不安定になることがあるからね」と言われました。そのため、院外処方に変更してからも、処方箋には必ず先発医薬品名を書いてくださいました。
ところが先日、クリニックを受診した後、薬局に処方箋を持って行ったところ、「処方されている薬にはジェネリックがあるのですが、先生と相談してジェネリックに変更するおつもりはありませんか?」と聞かれたのです。私が「先生がこだわって処方してくれた先発医薬品のままで結構です」と答えると、「ジェネリックがあるのに、長期収載品と呼ばれる先発医薬品を希望されると、この10月から患者さんに特別料金を請求することになったのです」と言われました。その内容について説明を求めましたが、よく分からない回答でした。
なぜ患者が希望する薬を出すのに特別料金が必要なのでしょうか。
回 答山口育子(COML)
2024年10月から後発医薬品があるのに先発医薬品の処方や調剤を希望すると、患者に特別料金が請求されることになりました。国は医療費抑制のためにこれまで後発医薬品を増やす試みをしてきましたが、今回の特別料金もその一環です。特別料金は、先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当です。例えば、先発医薬品の価格が1錠100円、後発医薬品が1錠60円の場合、差額40円の4分の1、10円が定率負担とは別に請求されます。特別料金は保険外なので消費税もかかります。後発医薬品は複数の製薬会社から発売されており、薬価も異なります。そこで、差額を計算する際には、もっとも高い後発医薬品の薬価が適用されます。
医学的に先発医薬品が必要な場合など例外もあります。医師と相談してみましょう。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え
提供:健康保険組合連合会
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:20~17:40
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify