健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.89
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
妻と同じ診察内容なのに請求額に差があるのはなぜ?
相 談私(64歳・男性)は高血圧症で、近くの内科クリニックに月1回受診しています。実は妻も高血圧症で、同じクリニックに通っているのです。
昨日、妻と一緒にクリニックを受診したところ、妻はこれまでより40円ほど安い1,420円と請求額にあまり変化はなかったのですが、私はいつもより1,000円近く高い金額が請求されました。先生からは「6月からちょっとだけ医療費が高くなりました」と言われたのですが、1,000円も高くなるなんて「ちょっと」で済まされる金額ではないと思います。
それに、妻も私も診察内容は同じで、問診で自宅で測っている血圧の値を伝え、薬の処方箋を受け取っているだけです。ただ、今回の受診では「療養計画書」という用紙が渡され、そこには目標の血圧や食事や運動の指導内容が記載されていました。先生からは「この内容を目標に血圧をコントロールしていきましょう。理解、納得されたらサインをお願いします」と言われました。このような用紙を渡されたから高かったのかと思ったのですが、聞くと妻も同じように「療養計画書」にサインして、写しをもらってきたと言うのです。
同じ診療を受けていて、こんなに金額が異なることが解せないのですが、いったいどういうことなんでしょうか。
回 答山口育子(COML)
6月から2024年度の診療報酬改定に沿って請求がなされています。相談者はおそらく5月までは特定疾患療養管理料(診療所は225点)を請求されていたのだと思いますが、6月以降は脂質異常症、高血圧症、糖尿病が特定疾患療養管理料の対象から外れたため、生活習慣病管理料が請求されることになりました。生活習慣病管理料は(Ⅰ)と(Ⅱ)があり、(Ⅰ)は検査と注射等が包括されていて高血圧症は660点です。(Ⅱ)は包括がなく3疾患とも333点です。これらは月1回請求され、療養計画書が交付されます(2回目以降は患者側の求めがなければおおむね4カ月ごと)。相談者は問診だけだったとのことですので、妻と同じ請求になるのではないかと思います。何かの間違いで(Ⅰ)が請求された可能性もありますので、クリニックに確認してみましょう。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
電話医療相談:TEL 03-3830-0644
〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え
提供:健康保険組合連合会
放送:ラジオNIKKEI 第1 毎月第4金曜日 17:20~17:40
聴取可能アプリ:radiko、Apple Podcasts、Spotify