健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.84
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
「標準治療」の手術では不安… セカンドオピニオンを受けたい。
相 談私(43歳・女性)は5年前に子宮筋腫が見つかったのですが、筋腫自体は数も少なく小さくて貧血もないということで、婦人科クリニックで経過観察をしています。
3カ月前、胸にしこりを感じ、その婦人科クリニックで乳がん検診を受けることにしました。
マンモグラフィとエコー検査を受けたのですが、やはりしこりは乳がんの可能性が高いということで細胞診になったのです。病理検査の結果、やはり乳がんだと分かり、大きな病院の乳腺外科を紹介されました。
病院では血液検査と尿検査、CT検査を受けたのですが、医師から「当院では乳がんの標準治療として手術をすることになると思います。手術は早くて2カ月先です」と言われたのです。「標準治療」だなんて、並みの治療ということですよね。私はきちんとした最良の治療を受けたいのです。それに、がんなのにすぐに手術もしてくれず、2カ月も待つなんて不安でなりません。
そこで、いろいろとインターネットで調べたところ、標準治療に批判的で、自由診療を行っているクリニックを見つけました。まずはそのクリニックでセカンドオピニオンを受けてみようと思っています。手術予定の病院で嫌な顔をされずに紹介状を書いてもらえるでしょうか。
回 答山口育子(COML)
乳がん検診は乳腺外科で受けることが多いのですが、婦人科でも検診マンモグラフィ読影認定医や日本産婦人科乳腺医学会乳房疾患認定医の資格を得て乳がん検診を行っている施設はあります。
一般的に「標準」と言うと、「普通」「一般的」というイメージがありますが、「標準治療」とは“並みの治療”ではなく、科学的根拠に基づいた現在利用できる最良の治療という意味です。一般的に広く行われている治療という意味で使用されることもありますが、決して劣った治療ではありません。セカンドオピニオンを求めたい気持ちを否定するわけではありませんが、標準治療に否定的な自由診療について説明を受けるのだとしたら、どのような根拠に基づいて行われているのか、慎重に確認する必要があると思います。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
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