健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.69
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
検査入院で衰弱してしまった母 特養に終末期の相談できる?
相 談91歳の母は、3年前から特別養護老人ホーム(以下、特養)に入所しています。半年前に貧血になっていると指摘され、病院を受診して検査を受けたところ、逆流性食道炎で胃から出血していることが分かり、治療を受けました。
ところが先日、また貧血の症状が出ていると特養から連絡がありました。私(長女)は「また、胃から出血しているかもしれないので、病院で検査や治療を受けたい」と希望しました。母は入院して検査を受けたのですが、胃には異常がありませんでした。「もしかしたら大腸に問題があるかもしれない」と言われたので、大腸の検査もお願いしました。母は認知症があるので、決められた通り自分で下剤が飲めず、鼻からチューブを入れて下剤を入れて内視鏡検査をしたらしいのですが、結果として大腸にも異常は見つかりませんでした。
結局、母は10日間の入院で退院したのですが、げっそりと痩せてしまい、自力で立つこともできないぐらい衰弱してしまったのです。特養に戻って食事を食べさせようとしたのですが、それまで問題なかった飲み込む力もなくなってしまいました。母に申し訳ないことをしたと後悔していて、弟とも話し合い、今後は何か調子を崩しても検査をせず、静かに過ごさせたいと考えています。そのようなことを特養に言っていいものでしょうか。
回 答山口育子(COML)
最近は特別養護老人ホームでも、状態が悪化しても病院に搬送せず、施設で看取りをするところが増えてきています。ただ、施設によって方針や体制は異なっていますので、まずは話し合いをすることが大切です。
今回のことで、積極的な医療を受けると逆に衰弱してしまうことが明らかになったこと、ご本人が認知症で意思表示できないため、家族で今後の方針を話し合ったこと。そして、きょうだいの一致した意見として、今後容態に変化があっても積極的な治療は望まないと考えたことをまずは特養の担当者に伝え、特養の意見を聞いてみてはどうでしょうか。その上で、何か書面にするなど特養で決まっている手続きがあれば、それに従ってはどうかと思います。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
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