健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.66
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
不妊治療の保険適用について医師から事前説明がなかった
相 談私(43歳・女性)は35歳で結婚し、38歳から不妊治療を始め、40歳からは採卵して胚移植を受けています。しかし、なかなか着床しなかったり、着床しても成長しなかったりで、いまだに妊娠には至っていません。
今年1月、医師から「何度か失敗しているので、一度子宮を休ませましょう。そのため、今回採卵した受精卵は凍結して、タイミングを見計らって凍結胚移植することをお勧めします」と言われ、そうすることにしました。
今年3月まで、42歳を上限に不妊治療に対して年3回の助成金がもらえていました。そのため、凍結したあとも2月と3月に採卵を予定していました。2月は予定通り採卵したのですが、3月分は少しずれこみ、4月になって採卵し、受精卵を凍結しました。
ところが先日、不妊治療のクリニックから、「今年4月から不妊治療が保険適用になりました。4月2日から9月30日までの間に43歳になる方はその期間中、1回の治療に限り保険で治療できますが、あなたは3月下旬に43歳になられたので適用外です。助成金も保険適用と同じ年齢制限が4月から適用されるため4月に採卵した分はいずれの対象にもなりません」と言われました。それなら4月の採卵前にそのことを伝えるべきではないでしょうか。
回 答山口育子(COML)
2022年4月から不妊治療の基本治療は全て保険適用になりました。その内容は、一般不妊治療として「タイミング法」「人工授精」、生殖補助医療として「採卵・採精」「体外受精・顕微授精」「受精卵・胚培養」「胚凍結保存」「胚移植」です。ただし年齢と回数の制限があり、治療開始時点で40歳未満の女性は1子ごとに通算6回まで、40歳以上43歳未満は3回までです。ただ、22年4月2日から9月30日までに40歳や43歳を迎える人は、40歳は6回までが、43歳は1回の治療に限り保険診療を受けられる経過措置が設けられています。こちらのクリニックでは経過措置は把握していたと思われますが、患者の生年月日までは詳しく調べていなかったのかもしれません。数日早い誕生日だったことで対象にならず、お気の毒としかいいようがありません。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
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ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え