健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.5
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
入院費用について
相 談私(57歳・男性)は胆のうにポリープが見つかり、短期間で大きくなってきたので腹腔鏡手術で胆のうを摘出することになりました。事前に入院費を知りたかったので、手術を受ける病院に電話し、「入院費は1日当たりおいくらですか?」と聞きました。すると電話対応してくれた担当者は、「個室は1日7,000円ですが、大部屋は無料です」と言われました。私は大部屋を選べば入院費はタダになって、手術代だけを請求されるのかと受け止めました。
そこで入院の予約時に担当者から「高額療養費は月単位ですから、6月1日を入院日にしますか?」と聞かれたのですが、初日に手術をするわけではなく、5月30日の方が都合が良かったため、その日を指定して手術の日程も組んでもらいました。
そして無事手術が終わって退院したのですが、請求された医療費は、5月分も6月分も高額療養費制度の上限額だったのです。納得がいかず「大部屋だと入院費はタダと言われたのに、なぜ上限額の請求になるのですか?」と聞くと、「大部屋は、差額ベッド料はかかりませんが、入院費用は当然ながら発生します」と言われました。一体どういうことですか?
コメント山口育子(COML)
恐らく、病院の職員は「1日当たりいくらですか?」と聞かれたので、差額ベッド料の問い合わせだと勘違いし、差額ベッド料の費用を伝えたのだと思います。というのも、医療では入院は1日当たりの単価があって請求する仕組みではないからです。DPC対象病院といって、ある程度の費用が包括化されている入院費で請求される病院もありますが、その場合でも最初の数日はいくら、それを超えるといくらと金額が変わってきます。
また、入院には基本料があって、それに条件が合えば加算がつきます。この加算は、とくに入院初日に請求可能なものが多く、初日は基本料金が高くなる傾向があります。また入院直後に術前の検査がまとめて入ることもあります。そのため、5月分は2日しかなかったにもかかわらず、高額療養費制度の上限額に達してしまったのでしょう。入院の予約時に確認できなかったことが悔やまれます。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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