健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.38
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
差額ベッド料請求のルールは?
相 談夫(62歳)は人間ドックを受けた際、オプションで調べた前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA検査で高い値が出ました。かかりつけ医に紹介してもらった病院で組織を採取する生検を受けたところ、早期の前立腺がんであると診断されました。そして担当医から、小線源治療と呼ばれる放射線治療を勧められました。
小線源治療とは、放射性物質を体内に留置する方法で、4~5日の入院が必要です。しかも、他の患者さんへの被曝を避けるために、個室に入る必要があると言われ、入院時に差額ベッド料の同意書を持参するよう求められました。
事前の入院受付で同意書を手渡されたのですが、帰宅して夫とインターネットで調べたところ、差額ベッド料には請求のルールがあると分かりました。そこで病院の入院受付センターに電話をして問い合わせたのですが、「当院では小線源治療を受ける方には費用をお支払いいただき、個室を利用してもらうことになっています。前立腺がんで他の治療を希望される場合は、別の病院を紹介することになりますが」と差額ベッド料を支払わないと小線源治療を受けられないかのような言い方をされました。夫は小線源治療を希望しています。それをかなえるためには、病院の言いなりになるしかないのでしょうか。
回 答山口育子(COML)
差額ベッド料の請求にはルールがあり、請求できない場合は①同意書の提出がない②治療上の必要で利用――です。②の場合は、同意書を求めること自体行ってはいけないというのが国の見解です。一方、他に空きベッドがない、患者自身が感染症、他の患者の療養の妨げになる場合は、丁寧な説明の上で同意書があれば請求対象となります。
小線源治療は他者への被曝防止ということで、その治療を受けるためには個室が必要なわけですから、やはり「治療上の必要」で利用すると考えられます。
このような差額ベッド料の請求ルールについては、事務職員を含め、医療者に浸透していないことがあります。COMLでは必要に応じて交渉に必要な資料を相談者にお送りしていますのでご相談ください。
認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
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ただし、月曜日が祝日の場合は翌火曜日に振り替え