健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.15
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
医療行為に伴う予期せぬ死亡
相 談58歳の夫が体調を崩し、病院で診察を受けたところ腎不全の状態になっていると診断され、入院となりました。医師からは「入院して治療をすれば改善して、元の生活に戻ることができますよ」と言われたので、安心して治療を受けることにしたのです。
ところが入院の5日後、病院から電話がかかってきて、「急変されたので、すぐに病院にいらしてください」と言われました。急変という言葉に動転し、ともかく病院に駆けつけました。病室に到着すると、心臓マッサージが行われていて、すでに心肺停止になっているとのことでした。それなら意味がないと思い、心臓マッサージはやめてもらいました。
医師からは「急変で何が起きたのか私たちにも分かりません。もしご了解いただけるなら、解剖をして死因を究明したいと思っています。また、治療をしている途中に予期せぬ死亡が起きた場合は、医療事故調査・支援センターに報告をすることになっています。そのこともご了承ください」と言われました。子どもたちが「死因を究明すべき」と言うので、解剖は承諾しました。ただ、医療事故調査・支援センターということは…、やはり夫には医療過誤があったということなのでしょうか。
コメント山口育子(COML)
医療事故調査・支援センターというのは、2015年から始まった医療事故調査制度に基づいて設置されました。「医療事故」という名称になっているため、「医療ミス」「医療過誤」があったとイメージする人も少なくありません。しかし、この場合の「医療事故」は過誤やミスを問うものではなく、医療に起因した(あるいは、その疑いがある)死亡―つまり、医療を受けている途中で起きた死亡で、死亡することが予期できなかったという2つの条件が合わさった場合に報告することが医療法で義務づけられたのです。
そして、報告の後は速やかに院内調査を行い、その結果はご遺族にも報告されます。もしその結果に納得がいかないときや、院内調査に疑問があれば、第三者機関である医療事故調査・支援センターに調査を依頼することもできます。ただその場合、ご遺族の費用負担として2万円が必要になります。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
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〈月・水・金 10:00〜13:00、14:00〜17:00/土 10:00〜13:00〉
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