健康コラム
賢い患者になろう〜患者の悩み相談室〜 By COML vol.13
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
救急搬送後の判断
相 談74歳の父が重い脳梗塞を起こして救命救急センターに運ばれました。検査の結果「脳の中枢部分に梗塞が起きているので、意識が回復することは不可能と思われます。延命治療を希望されますか?」と聞かれました。私(娘)と母は突然のことだったので、そのまま治療をせずに死を待つことが受け入れられず、その場では延命治療を希望しました。その結果、人工呼吸器が装着され、胃ろうをつくって栄養補給されることになったのです。
4〜5日経つと私たち家族も少し気持ちが落ち着いてきて、いくら延命治療をしてももう父の意識は戻らないし、助からないという現実が理解できるようになってきました。そこで、今後急変するようなことがあれば、いま以上の治療は望まないと決めてドクターにそれを伝えました。すると、「積極的な治療を望まないなら一般病棟に移っていただくことになります。その場合、人工呼吸器がついているので個室でないと対応できません。1日1万円のお部屋になることをご了承ください」と言われました。言われるままに支払わないといけないのでしょうか。それに父を見ているとつらそうで、今後、人工呼吸器や胃ろうも外せないかと思っているのですが。
コメント山口育子(COML)
救命救急センターに運ばれた直後は病状を理解するだけでも精一杯なだけに、最初の段階で延命治療の是非を尋ねられても動転して冷静に判断することは難しいでしょう。しかし、その後に現状がみえてくるにつれ、気持ちが変化するのは当然のことと思います。
まず、一般病棟の病室に移った場合の差額ベッド代ですが、人工呼吸器装着のための個室利用であれば「治療上の必要」ですので、本来、請求されないことになっています。同意書を求めること自体も認められていないので、そのことは病院に確認してみてはいかがでしょうか。
一方、人工呼吸器や胃ろうを外すことについては、病院側も慎重になると思います。それだけにもう一度家族でよく話し合って結論を出し、外す意思が固まればドクターに気持ちを丁寧に伝えることが大切です。病院によっては、院内の臨床倫理委員会に諮るなど一定の手続きが必要になる場合もあります。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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