健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.133
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
医療機関のスタッフのコミュニケーション
相 談67歳の夫が脳梗塞で倒れて入院しています。左半身が麻痺しているので、自分でできることが限られています。もともと独立心の強い人なので、思うように身の回りのことができないことに夫はとてもストレスを感じていて、落ち込んでいる姿が痛々しいのです。
そのようななか、看護師が新人らしきスタッフを連れて処置をしに来るのですが、新人数人が夫を取り囲んでじっと眺めるのです。あいさつもなければ、立場や目的についても一切説明がありません。それでなくてもストレスを感じている夫にとって、見られるストレスがさらに加わっている状態です。
昨日、私が病室に行くと、夫が「今日から出されるようになった薬が坐薬で、看護師が入れにくる。恥ずかしくて耐えられないから、せめてお前が入れてくれないか」と言います。そこで、ナースステーションに行って「夫が坐薬は私に入れてほしいと言っているので、1日何回使う薬か教えてください」と問い合わせました。すると「院内での処置になりますので、それは私たち看護師がおこないます」と言われました。自宅であれば家族が入れることもできるのに、院内では家族がしてはいけない決まりでもあるのでしょうか。
コメント山口育子(COML)
医療機関ではあいさつや自己紹介がなされないことがいまだにあり、コミュニケーションの面で不十分な対応だと思います。何かを尋ねるときにはその目的をきちんと伝えることが大切ですし、見学をするなら目的を伝えることに加えて、了解を得ることも必要だと思います。それらは患者側の想いとして、伝える機会があるごとに私たちの活動のなかでも、声を挙げていきたいと思っています。
坐薬の挿入に関しては、入院中なので、何か問題が生じると、その責任は医療機関が負うことになります。入院中は患者さんの状態も不安定なことが多いので、坐薬を入れる場合でも、その前後の患者さんの状態を観察しながらおこなう必要性もあるでしょう。確かに患者さんにとっては羞恥心を伴う行為ですが、専門家に委ねるべきことは理解が必要です。また本来は、それを理解できるような説明を医療者がきちんとすべきだと思っています。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
詳しくはCOMLホームページへ https://www.coml.gr.jp/
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