健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.128
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
差額ベッド料のルール
相 談サービス付き高齢者住宅で暮らす82歳の父が、4カ月前に誤嚥性肺炎で病院に救急搬送されました。私(息子)が連絡を受けて病院に駆けつけたときには、父は個室に入れられ、さまざまなチューブにつながれている状態でした。一時は危篤状態になり、重体と言われていたのですが、何とか回復し、3週間後には別の病院に転院することができました。
転院直前に病院から示された医療費の請求書の中に、1日21,600円の差額ベッド料の請求があり、約3週間の入院なので40万円を超える高額な請求額に驚きました。すぐにナースステーションに行って確認したところ、医事課に行くように言われました。医事課では、私の筆跡による差額ベッド料の同意書が提示され、「同意されています」と言われたのです。たしかに駆けつけたときに数枚の書類を渡され、提出した記憶があります。そのなかに差額ベッド料の同意書も入っていたのだと思いますが、口頭での説明は一切ありませんでした。
そのときは仕方なくカードで支払ったのですが、どうにも釈然としません。母も別の施設に入っていて、経済的にも負担が大きいのです。このような場合は、黙って支払うしかないのでしょうか。
コメント山口育子(COML)
差額ベッド料にはいくつかのルールがあります。まず同意書の提出がない場合や、治療上の必要で入室した場合は、差額ベッド料を請求してはいけないことになっています。治療上の必要とは、救急や術後でその部屋でしか治療ができない場合、免疫力が低下していて大部屋だと感染して危険な場合、心身ともに著しく苦痛を伴う終末期の状態などです。
しかし、空きベッドがない、患者さん自身が感染症で大部屋だとほかの患者に感染する可能性がある、あるいはいびきや認知症などでほかの患者さんの療養の迷惑になる場合などは、きちんと説明を受けて同意書を提出していれば“契約”したことになり、支払う必要性が生じます。つまり、誰が言い出し、どのような理由で入室したかによって支払う必要性が異なるのです。この方の場合も、個室に入った理由次第では支払う必要がなくなるかもしれませんので、確認が必要です。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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