健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.121
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
患者事情は先に伝える
相 談4歳の娘が皮膚に発疹が出たため、昨日、妻が皮膚科クリニックに連れて行きました。実は娘は自閉症で、モノへのこだわりが強い傾向にあります。娘は皮膚科で診察が終わった後に気になるものを見つけたらしいのですが、それを触ろうとするのを妻が阻止して、診察室から連れ出したところ、泣き叫んで収集がつかなくなってしまったようです。
自閉症のこだわりは言い聞かせて理解させるのはとても難しく、「コンビニでお菓子買おうか?」「外で遊ぼう」などとなだめても、泣き叫ぶばかり。ほかの患者さんにも迷惑がかかるので無理に外へ連れ出そうとしたら、よけいに暴れてしまったようです。
20〜30分そういう状態が続いていたところへ、診察室からドクターが出てきて、妻の手から無言でひょいと娘を抱きあげ、小脇に抱えると、靴も履いていない娘を外に放り出したと言うのです。クリニックの前は交通量の多い道路で、すぐに駆け出した娘を追いかけるのが大変だったと妻から聞きました。皮膚科医には自閉症だと伝えていなかったそうですが、診察のときの様子で医師だったらわかるでしょう? もし交通事故に遭っていたらと思うと、腹が立って仕方ありません。
コメント山口育子(COML)
確かに、いきなり外に連れ出すというのは、乱暴な対応だと思います。せめて「なぜ泣きやまないの?」と母親に事情を確認していれば、自閉症のこだわりについて話せたかもしれませんし、事情がわかれば対応も変わった可能性があります。また、クリニックには事務職員や看護師もいるでしょうから、ほかの患者さんへの影響も考えて、母親に声をかけるなり、母親と一緒に泣き止むための対応をすることもできたのではないでしょうか。
ただ、この皮膚科クリニックには初めて受診したということでした。自閉症には関係のない症状での受診ですが、やはり自閉症であることは自発的に最初に伝えたほうがいいように思います。小児科医なら子どもの様子で判断するかもしれませんが、「医師だから様子で理解するのは当然」ではない可能性もあります。患者さん側の事情は自発的に伝えることが大切です。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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