健康コラム
賢い患者になろう〜電話医療相談の現場から〜 By COML vol.116
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ「COML(コムル)」が、読者からの電話医療相談に丁寧に答えていきます。
【相談担当】
NPO法人ささえあい医療人権センター
COML(コムル) 山口 育子
リハビリ病棟「2カ月の壁」とは?
相 談73歳の叔父は、うつ病で3カ月前から精神科病院に入院しています。入院1週間後に病室内で転倒し、それ以来、歩けなくなってしまいました。とくに骨折はしていないようで、脳神経外科は受診させてもらえたのですが、MRI検査で脳にも異常がないと言われました。
精神科の担当ドクターからは「精神的なものでしょう」と言われています。たとえそうであっても、リハビリテーションを受ければ歩けるようになるのではないかと思うのです。歩けないのを放置していれば、筋力は低下するばかりです。そこで「リハビリをしてもらいたいのですが」と頼んだのですが、「当院は精神科単科で、リハビリに必要なスタッフはいないのです」と言われました。そして「うつ病の状態は改善してきているので、入院を継続されるなら、受け入れてくれる転院先を見つけてきてください」と言われたのです。
転院するならリハビリをしてもらえる病院をと思って、いくつかの回復期リハビリテーション病棟のある病院をあたったのですが、転倒から2カ月以上経過していることを理由に断られます。理由を尋ねると「2カ月の壁」と言われ、なんのことだか理解できません。なぜ受け入れてもらえないのですか。
コメント山口育子(COML)
回復期リハビリテーション病棟とは、脳卒中や骨折などで急性期(発症してから積極的な治療が必要な時期)の治療を終え、リハビリが必要な患者さんが入院する病棟です。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったリハビリの専門スタッフが一定数配置され、十分なリハビリが受けられます。
ただ、この回復期リハビリテーション病棟の入院料を請求できる条件として、発症や手術後1〜2カ月以内であることが条件とされているのです。この期間は病気などの種類によって異なり、入院できる最大の期間も定められています。そのため、転倒で歩けなくなった患者さんの場合、2カ月を過ぎると回復期リハビリテーション病棟入院料が請求できないので、受け入れてもらえないのです。転院にあたって相談できる医療ソーシャルワーカーを紹介してもらって、転院先を一緒に探してもらってはいかがでしょうか。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)
「賢い患者になりましょう」を合言葉に、患者中心の開かれた医療の実現を目指す市民グループ
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