健保ニュース
健保ニュース 2025年4月中旬号
保険者の予防・健康づくり
厚労省が「方向性」提示
後期高齢者支援金 加算・減算制度見直しを検討
厚生労働省は3日の社会保障審議会医療保険部会に、保険者における「今後のデータヘルス計画等を通じた予防・健康づくりの方向性」を提示した。
「方向性」は冒頭、保険者の役割として、加入者の健康の保持増進による病気の予防や早期回復が期待されていると指摘。疾病構造が変化するなか、予防・健康づくりの推進が極めて重要だと強調した。
後期高齢者支援金の加算・減算制度については、限られた人員・予算のなかで、「保険者の取り組みを後押しする制度設計になっているか検証する必要がある」とした。
また、加入者の健康課題に応じた保健事業を実施する保険者が評価される仕組みとするため、インセンティブ設計のあり方や評価手法について、保険者や事業主の意見を聞きながら、見直しを検討し、特に非金銭的なインセンティブ設計について、具体的な制度化を進めるとした。
厚労省は今後、「方向性」に基づき、後期高齢者支援金の加算・減算制度検討ワーキンググループなどで検討する方針だ。
医療保険者は、保険給付と予防・健康づくりを一体的に実施する主体として、加入者の生活の安定と健康増進に貢献することが期待されており、▽データヘルスのPDCA▽総合的な保健事業▽コラボヘルス──の推進に取り組んでいる。今回の「方向性」は、こうした取り組みを踏まえたものとなる。
健保連の佐野雅宏会長代理は、後期高齢者支援金の加算・減算制度について、「特定健診、特定保健指導の実施率向上に一定の貢献をしてきた」と評価した。
一方で、「直近の状況をみると、1370健保組合のうち加算対象は77組合あるが、減算対象組合は376組合もある」と指摘。「全体的に取り組みが進み、減算対象組合が増えると、減算による財政的なインセンティブ効果はほとんどない」とし、制度の抜本的な見直しを訴えた。また、減算対象保険者に対し、非金銭的なインセンティブを強化するよう求めた。
なお、予防・健康づくりに関連して、厚労省は第3期医療費適正化計画の実績評価と第4期全国医療費適正化計画について報告した。