健保ニュース
健保ニュース 2025年4月上旬号
高療と社保の超党派議連が初会合
武見会長 負担のあり方を財源合わせ検討
共通項を固め政府に要望へ
超党派の「高額療養費制度と社会保障を考える議員連盟」は3月24日、設立総会を開催した。
同議連は、超党派の議員が集い、よりよい社会保障のあり方、国民皆保険と適切な高額療養費制度のあり方を議論するために設立。現時点で、衆議院議員69名、参議院議員26名が入会の手続きを行っている。
初会合には約80人の与野党議員が参加したほか、全国がん患者団体連合会、日本難病・疾病団体協議会の代表者や厚生労働省の鹿沼均保険局長らが出席した。
今後、超党派の議連における議論を通じて共通項を固めたうえで、政府への要望や提言を行う対応を視野に入れる。
設立総会では、会長に自民党の武見敬三参議院議員、顧問に尾辻秀久前参議院議長、事務局長に立憲民主党の中島克仁衆議院議員が就任することが了承された。その他の役員は、規約に沿って会長に一任することとした。
設立総会の冒頭あいさつした武見会長は、高額療養費制度は国民の生活、生命に直結する問題と指摘したうえで、「国民皆保険制度のなかでも国際社会では極めて優れた制度として高く評価されてきた制度の1つだ」と言及。
この優れた制度を高齢化や高度先進医療の高コスト化に対応して、その負担のあり方を財源とともに考えるのは社会保障の問題を根本的に考えることと等しい課題といっても過言ではないとの認識を示し、超党派の議連を通じてそうした役割を果たしていくと強調した。
続いて、患者団体があいさつし、高額療養費制度見直しの再検討にあたって、▽プロセスの問題▽優先順位の問題▽内容の問題─の3点が論点になると主張したほか、患者、当事者など様々な立場からの意見や客観的なデータをそろえた丁寧かつ慎重な議論を切望した。
その後、厚労省が、高額療養費制度見直しの現状について説明。鹿沼保険局長は、「今後のプロセスについては検討中であり、患者の意見を聞きながら決めていきたい」との意向を示した。
また、保険者団体から指摘されている制度の持続可能性や保険料負担に対する不安の声にもしっかり向き合いながら、改めて丁寧な検討プロセスを積み重ねていくことで、高額療養費制度がしっかりとした制度になるよう尽力するとした。
出席議員からは、▽今秋までに見直すというリミットで良いのか▽家計実態調査や受療行動に与える影響も含めた議論を行うべき▽まずはOTC類似薬の保険適用除外など軽症患者の医療費を抑制する努力を行うべき▽高額療養費など命に関わる医療費に手をつけるのは最後の手段ということについて合意すべき▽高額医療費を誰が負担すべきかを慎重に議論すべき▽今秋までの検討に向けた場を新設するのか▽ヒアリングではなく、患者団体が参加できる場を設けるべき─などの意見があった。
今秋までに改めて方針を検討する場について、厚労省の鹿沼保険局長は、「全く別の検討会というよりは、社会保障審議会医療保険部会で議論することがベースになっていく」との認識を示した。
医療費適正化と財源確保
エビデンス踏まえ議論
「高額療養費制度と社会保障を考える議員連盟設立総会」の終了後に、武見敬三会長と中島克仁事務局長は記者会見を開いた。
このなかで、武見会長は、今後、極めて厳しい超高齢化社会に突入するなか、超党派議連の場を通じて共通項をしっかりと固め、それを基盤として参院選後に具体的に展開していく考えを示した。
高額療養費制度における負担のあり方を考えるときには、患者が置かれている様々な社会的・経済的な条件を考えると同時に、それ以外の医療財源を高額療養費制度のなかに持ち込むかも考える必要があると指摘。
こうした観点から、医療費を適正化する努力と、新たな医療財源の確保といったことについて、超党派の議連のなかでエビデンスにもとづき議論していく意向を示した。
中島事務局長は、「超党派議連として共通項を見出しながら、政府に要望、また、何かしらのアクションを起こしていけるよう、役員選出後に役員会で議論し、しかるべき時に総会を開催する」と発言。
今後の少子高齢化、人口減少という状況のなかで、医療のセーフティーネットである高額療養費制度を社会保障全体のなかでいかに守っていくかが最大のテーマとの認識を示し、党派を超えて議論していくとした。