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健保ニュース 2025年4月上旬号

出産費負担軽減と産科医療支援等
自民議連 「提言」の骨子案を示す
骨太反映へ政府に申し入れ

自民党の「出産費用等の負担軽減を進める議員連盟(小渕優子会長)」は3月27日、「子育て世代の妊娠出産への安心を支える出産費用等の負担軽減(お財布のいらない出産)と、産科医療等への支援を求める提言(骨子案)」を示した。

この日の会合の議論を踏まえた対応で、「提言(骨子案)」については、「骨太方針2025」への反映をめざし、同議連として正式に取りまとめた後、政府に申し入れを行う意向を示した。

「提言(骨子案)」は、出産数の低下が進むなか、今後さらに子育て世代が安心して子どもを産み育てることができるよう、①出産無償化の推進と産科医療体制の確保との両立②妊婦健診の負担軽減③無痛分娩(硬膜外麻酔)への対応④妊婦への伴走支援─について要望。

このうち、①は、標準的な出産費用の自己負担の無償化(お財布のいらない出産)を着実に進める。検討にあたっては、妊産婦の費用負担軽減とともに地域の産科医療体制の確保が両立するよう、産科医療機関の経営実態等にも十分配慮し、必要な支援を行うと明記。

また、出産費用等の見える化について、妊婦が主体的に選択できるよう、厚労省「出産なび」は、情報の一覧性など改善を求める声があり、対応を進めるとした。

③は、痛みの少ない無痛分娩への希望が増えるなか、希望する妊婦が安全な無痛分娩を選択できる環境整備が求められる一方で、実施体制の充実(安全管理体制の標準化、麻酔医の確保、地域差の是正等)、リスクを含めた正しい理解、費用の見える化や経済的負担軽減等をさらに進める対応を盛り込んだ。

この日の会合では、さらなる費用負担軽減等に向けて、「NPO法人manma」の新居日南恵理事と越智未空代表理事、日本大学医学部主任教授の田倉智之氏からヒアリングを実施した。

「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」の構成員を務める新居理事は、「出産育児一時金のいたちごっこに終止符を打ち、自己負担なしで出産できる人の割合が今まで以上に増えるような出産費用の負担軽減策が必要」との考えを示した。

「出産なび」については、助産院の情報だけでなく、産後ケアも追加するなど、ますます機能を充実させ、妊娠が分かった直後から出産後まで妊婦の不安に寄り添うサイトに進化させることを期待した。

田倉氏は、出産費用の上昇メカニズムは、社会経済や少子化(出産減少)を中心に説明することが可能と指摘。

今後も、妊婦における費用負担感の軽減とともに、出産費用の予見性を向上させる議論を展望した。

その後、厚労省が、出産に関する妊婦等の経済的負担の軽減策等の検討状況を説明した。
 正常分娩の平均出産費用は、令和5年4月の出産育児一時金の引き上げに合わせて上昇している状況を報告。また、5年度における正常分娩の都道府県別の平均出産費用は、最高の東京都と最低の熊本県で20万円以上の差がある状況を示した。

「保険適用を含む負担軽減策とあわせ、地域における周産期医療提供体制を確保してくことが重要」など、「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」における意見も紹介した。

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