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健保ニュース 2025年4月上旬号

健保連・第534回理事会
宮永会長 「新提言」を積極的に発信
主張実現へ理解と協力要請

健保連は3月21日、第534回理事会を開いた。冒頭あいさつした宮永俊一会長は、依然として現役世代に過重な負担がかかる構造に変わりはないと指摘。2025年以降も高齢化による高齢者医療費の増大と、それに伴う拠出金負担がいっそう増加する見込みと危機感をあらわにした。このため、今般とりまとめた「『ポスト2025』健康保険組合の提言」を積極的に発信していくことにより、加入者や国民をはじめ、保険者、国、医療提供者、事業主に医療保険制度の危機についての理解を深めてほしいと強調した。予防・健康づくりや全世代で支え合う社会保障制度の構築に向けた取り組みを推進していくことで、健康寿命の延伸に寄与し、社会全体の福利向上と将来世代の負担軽減につなげていく考えを表明。健保連の主張実現と「新提言」の積極的な発信に対する健保組合の理解と協力を求めた。(宮永会長の発言要旨は次のとおり。)




理事会の開会にあたり、一言あいさつ申し上げる。
 まず初めに、先月、岩手県大船渡市で発生した大規模山林火災で被災された皆さんに、心よりお見舞いを申し上げる次第だ。

さて、令和6年度も、残すところ1週間余りとなった。
 多くの健保組合では、7年度の予算組合会を終え、新年度に向けた事業の準備に取り組んでいることと思う。

改めて、この1年間を振り返ると、緊迫した国際情勢のなかで、わが国をはじめ、海外の主要国におけるリーダーの交代や、与野党勢力の逆転などに伴い、世界的に政治の枠組みが大きく変化した。

特に、米国のトランプ政権の誕生と独自の政策によって、世界中で戸惑う場面が多くみられ、各国の政治・経済および外交ともに難しい局面が増えているように感じている。

今年のG7サミットは、6月にカナダで開かれるが、主要国の首脳が集まる場において、揺るぎのない結束と協調が確認されることを願っている。

日本国内においては、株価の上昇や企業収益の増加、また、個人消費の回復基調がみられる。

約30年ぶりの高水準の賃金引き上げや100兆円を超える設備投資に支えられ、日本経済は着実に「デフレからの脱却」へ向かっているように思う。

経済界においても、昨年は高水準の賃上げモメンタムが 「加速した年」でもあり、今年はそれが「定着する年」と位置づけられている。

今年の春闘も佳境を迎えているが、適正な価格転嫁を進めることにより、賃上げと消費の好循環という流れが、中小企業等へも広がり、持続的な経済成長を実現していく社会・経済構造への転換が進んでいくことを期待している次第だ。

さて、来年度の政府予算案が衆議院を通過し、参議院での審議も大詰めを迎えているところだ。

このなかで、高額療養費制度については、当初の8月の自己負担上限額の引き上げをいったん、見送ったうえで、秋までに改めて制度のあり方を検討し、方針を決めることとなった。

これにより、政府予算案も再修正される見込みだ。
 各健保組合におかれても、予算決定後の急な変更であり、対応に苦慮されていることと思う。

高額療養費制度の自己負担限度額の問題は、重い判断を要することが再認識されたことは事実であり、今後の検討にあたっては、現役世代全体の負担のあり方や、医療保険財政への影響など、関係者において真摯に、しっかりと議論を尽くしていく以外にないと思っている。

また、被用者保険適用拡大、年収の壁の問題、さらには、医療提供体制や医師偏在対策といった健保組合に関連する重要な法案・法律の審議も控えている。

今般の見直しにとどまらず、この行方を注視し、現役世代のさらなる負担軽減につながる改革を求めていきたい。

さて、健保連はこれまで、団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年に向けて、医療保険制度改革に関する要求の実現に向けた活動を積極的に行ってきた。

この間、政府は、すべての世代が負担能力に応じて支え合う、「全世代型社会保障制度の構築」に向けた改革を進めてきたが、依然として現役世代に過重な負担がかかる構造に変わりはない。

2025年以降も少子化の加速は止まらず、さらに、高齢化による高齢者医療費の増大と、それに伴う拠出金負担がいっそう増加することが見込まれている。

このような状況を踏まえて、昨年の4月から新たな「提言」の策定に向けて、1年間、検討や議論を重ね、今般、「提言」をとりまとめ、本日の理事会で諮る次第だ。

この「提言」では、健保組合の加入者や国民の皆さんに国民皆保険制度の恩恵、また、危機的状況に対する認識を共有してもらうとともに、あわせて、国、医療提供者、事業主にそれぞれお願いすることを明らかにし、われわれ健保組合の約束とチャレンジについてまとめた。

この「『ポスト2025』健康保険組合の提言」を積極的に発信していくことにより、加入者や国民の皆さんをはじめ、保険者、国、医療提供者、事業主の方々に医療保険制度の危機についての理解を深めてもらいたいと考えている。

そして、予防・健康づくりや全世代で支え合う社会保障制度の構築に向けた取り組みを推進していくことで、健康寿命の延伸に寄与し、ひいては社会全体の福利向上と、将来世代の負担軽減につなげていきたいと思っている。

引き続き、健保連の主張実現に、また、この「新提言」の積極的な発信に健保組合の皆さんのご理解・ご協力をお願い申し上げる。

さて、社会保障制度を維持・発展していくための新しい基盤となるマイナンバーカードと保険証の一体化に向けた取り組みについて、様々な準備に取り組んでもらうなど、ご協力を賜り、感謝申し上げる。

健保組合の皆さんには、事業主を通じて4月入社の新規取得者を対象に、マイナ保険証を速やかに取得してもらう取り組みを展開している最中と思う。

新たな取り組みのため、周知広報や問い合わせ対応等、業務負荷がかかっていることと思うが、マイナ保険証を取得することにより、結果的に資格確認書の発行がなくなり、事務の軽減にもつながる。

また、マイナ保険証を基本とする体制へ完全に移行する今年の12月に向け、円滑な移行へのステップとして、ご協力を賜りたく、何卒よろしくお願い申し上げる。

健保連も、皆さんへの支援・サポートに全力で取り組んでいく。

本日は今年度、最後の理事会となる。
 皆さんのご協力・ご支援に心よりお礼申し上げる。
 これからも、理事の皆さんのさらなるご助力をお願い申し上げ、私のあいさつとする。

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