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健保ニュース 2025年3月中旬号

令和7年度薬価基準改定を告示
新創加算累積額控除
返還額は合計662億円

厚生労働省は7日、令和7年度薬価基準改定を官報告示した。
 3年度以降、3度目の毎年薬価改定となる7年度薬価改定の対象範囲は、6年薬価調査の平均乖離率5.2%を基準に、品目ごとの性格に応じて設定。品目ごとの薬価と市場実勢価格との乖離率から調整幅(2%)を緩和したうえで引き下げる。

算定ルールは、▽後発品の価格帯▽不採算品再算定▽基礎的医薬品▽最低薬価▽新薬創出・適用外薬解消等促進加算▽改定時加算▽外国平均価格調整▽新創加算対象品目等を比較薬にした品目の控除─を適用。

このうち、新薬創出・適用外薬解消等促進加算では、創薬イノベーションの推進および国民負担軽減といった基本的な考え方を踏まえ、メリハリのあるイノベーション評価の観点から、毎年薬価改定で初めて「累積額控除」を適用する。なお、長期収載品の薬価改定、市場拡大再算定その他の既収載品の算定ルールについては、7年度改定で適用しない。

全品目の約53%が改定対象となり、薬剤費への影響額は▲2466億円を見込む。
 7年度薬価基準の収載医薬品の告示数は内用薬6900品目、注射薬3424品目、外用薬1974品目、歯科用薬剤27品目の合計1万2325品目。

市場実勢価格にもとづく薬価引き下げを猶予・緩和する新創加算の対象は、▽希少疾病用医薬品202成分、297品目▽開発公募品12成分、22品目▽加算適用品106成分、195品目▽新規作用機序医薬品のうち基準該当品30成分、52品目▽新規作用機序医薬品から3年以内かつ3番手以内のうち1番手が加算適用品または基準該当品14成分、22品目▽小児加算対象品8成分、17品目─の合計372成分、605品目となる。

一方、後発医薬品が上市された製品など「新創加算」の要件を満たせずに、これまで受けた累積加算額を控除される対象は21成分、46品目。返還額は562億円に達する。

また、今回の改定から、新薬創出等加算対象品目等を比較薬にして算定された品目の新創加算累積額相当額を控除。控除対象は7成分12品目で、返還額は100億円となった。

企業数は98社で、6年度薬価改定の99社から1社減少。今回の改定では、▽平均乖離率を超えなかった品目が96社▽平均乖離率を超えたため薬価が維持されなかった品目が22社▽市場拡大再算定等の対象となり薬価が引き下がった品目が2社─となった。なお、品目ごとに乖離率を確認して薬価維持の有無を決定しているため、企業数は単純な合計とならない。

不採算品再算定(臨時・特例的対応)により薬価の引き上げを行ったのは182成分、429品目で、▽基礎的医薬品▽安定確保医薬品のカテゴリーAおよびBに位置づけられている品目▽厚労大臣要請に伴う増産品目─等に対し適用した。

医療上必要性が高い医薬品として、最も販売額が大きい銘柄に価格を集約し安定供給を確保している「基礎的医薬品」の対象は、▽不採算226成分、737品目▽病原生物112成分、443品目▽麻薬11成分、72品目▽生薬46成分、55品目▽軟膏基剤4成分、22品目▽歯科用局所麻酔剤1成分、3品目─の合計400成分、1332品目。

また、安定確保医薬品にかかる基礎的医薬品は、▽先発品がZ2/G1/G2品目であるもの4成分、46品目▽それ以外9成分、77品目─の合計13成分、123品目だった。

最低薬価の対象については、▽最低薬価品目453成分、2340品目▽みなし最低薬価品目227成分、891品目─の合計680成分、3231品目。

なお、改定前にみなし最低薬価品目であった品目のうち、改定前薬価の2倍または最低薬価に薬価を引き上げた品目は152成分、505品目だった。

このほか、外国平均価格調整の実施により、4成分5品目を引き上げ、1成分1品目を引き下げた。

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