健保ニュース
健保ニュース 2025年3月中旬号
福岡厚労相が国会で所信表明
全世代型 社会保障構築を重要視
福岡資麿厚生労働相は7日の衆院厚生労働委員会(藤丸敏委員長、自民)で、今通常国会における厚労行政の基本施策などについて所信表明を行った。
本格的な少子高齢化・人口減少が進むなかで、負担能力に応じて皆が支え合う「全世代型社会保障」の構築を重要視。高額療養費制度については、高齢化や高額薬剤の普及等により、その総額が医療費全体の倍のペースで伸びている状況において、制度の持続可能性を確保するとともに、現役世代を中心に保険料負担の軽減を図る必要があるとした。
そのうえで、令和5年末に閣議決定された「改革工程」に掲げられた項目も含め、必要な保障が欠けることがないよう留意しつつ、セーフティーネット機能を次の世代にも維持しながら、将来世代も含めた全世代の安心を保障する観点から、検討を進めていく方針を示した。
他方、「年収の壁、年金制度改革」では、昨年12月の社会保障審議会年金部会等の取りまとめにもとづき、年金制度をより働き方に中立的なものとし、年金の所得保障機能や再分配機能の強化を図るための関係法案を今国会に提出すべく調整を進めると発言。
さらに、いわゆる「年収の壁」を意識せずに働くことができる環境づくりを後押しするため、「年収の壁・支援強化パッケージ」による支援に引き続き取り組むとともに、「年収130万円の壁」への対応として、キャリアアップ助成金を拡充し、労働時間の延長や賃上げを通じて労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を7年度中に実施するため検討を進めるとした。
また、将来にわたって、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するため、▽新たな地域医療構想の推進▽医師偏在是正に向けた総合的な対策▽医療DX推進─などを盛り込んだ法案を今国会に提出したと言及。
新たな地域医療構想は、2040年頃を見据え、医療・介護の複合ニーズを抱える高齢者の増大や人口減少などに対応できるよう、入院の病床のあり方に限らず、外来や在宅医療、介護との連携までをカバーし、人材確保等の状況も踏まえた医療機関の役割分担や連携をさらに推進するとした。
医師偏在対策は、昨年末に策定した総合的な対策パッケージにもとづき、地域の実情に応じた実効性のある取り組みを推進する。
医療DX推進は、電子カルテ情報の医療機関での共有や医療等情報の2次利用の推進、医療DXの運営母体としての社会保険診療報酬支払基金の改組などについて取り組みを進めるとした。
マイナ保険証については、「医療DXの基盤として国民が健康・医療情報にもとづいたより良い医療を受けることを可能にするもの」として、利用促進に向けた周知を行うとともに、マイナ保険証を保有していない方に対して、申請によらず保険者から資格確認書を交付するなど、すべての方が安心して保険診療を受けられる環境を維持していく意向を表明。
物価高騰などによる医療機関等の厳しい状況を踏まえ、報酬改定や補正予算の効果も含め、実態をよく把握し、適切に対応していくとした。