健保ニュース
健保ニュース 2025年3月上旬号
特定機能病院のあり方検討会
大学病院本院 基準を新設し評価
承認要件に医師派遣機能追加
「特定機能病院及び地域医療支援病院のあり方に関する検討会」(座長・松田晋哉産業医科大学医学部公衆衛生学教室教授)は2月26日、大学病院本院が特定機能病院となる承認要件等の見直しの方向性を了承した。
現在の承認要件を基本とした「基礎的基準」、地域の実情を踏まえ自主的に行う高度な取り組みを「発展的(上乗せ)基準」として設定し、大学病院本院を評価する仕組みを盛り込んだ。
この日の会合で厚生労働省は、これまでの議論の整理(案)を示し、人口減少等が進む2040年頃を見据え、特定機能病院のうち大学病院本院について、▽地域医療のなかで期待される役割▽現在の承認要件を超えて自主的に実施している取り組み─を評価することを目的とした見直しを提案した。
見直しでは、特定機能病院の承認要件となる▽高度な医療提供▽研究▽教育▽医療安全─といった現行の基準に、「医師派遣機能」を追加する。
医学生等の卒前・卒後教育などすでに大学病院本院が担う機能を強化。都道府県と連携し、医師派遣などを通して、医師偏在是正や医師確保に貢献する。
また、現在の承認要件をすべての大学病院本院が満たすべき「基礎的基準」として整理。▽高度な医療提供▽研究▽教育▽医師派遣▽医療安全─における評価項目を定めた。そのうえで、地域の実情も踏まえて自主的に実施している高度な取り組みを「発展的(上乗せ)基準」として評価・公表する。
「基礎的基準」では、「高度な医療提供」に基本診療科の幅広い設置、「教育」に専門研修を基幹施設として担うなどの項目を追加。大学病院本院を自動的に特定機能病院とするのではなく、一定要件を満たすとの考え方を示した。
「発展的(上乗せ)基準」の具体的な例として、「高度な医療提供」では、重症度の救急症例の受け入れなど地域の最後の砦となる役割や地域で求められる診療、「医師派遣」では、地域の医療提供体制維持の役割の評価を挙げた。なお、地域の実情で基準達成が困難にならないよう留意するとした。
また、安定的経営・運営の観点から、承認要件や経営状況等に関する実績報告を求める。
厚労省は、次回以降、具体案を提示するとし、取りまとめは年度を超える見通しを示した。パブリックコメントを経て、省令改正を行うこととなる。