健保ニュース
健保ニュース 2025年3月上旬号
医療・介護・障害関係者との車座
石破首相 働きがいの確保が重要
政府は2月25日、「医療・介護・障害福祉関係者との生産性向上等に関する車座」を開催した。
車座には、医療・介護・障害福祉の各業界から、▽島貫隆夫氏(地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構理事長)▽三島康典氏(社会医療法人三愛会・大分三愛メディカルセンター理事長)▽東憲太郎氏(医療法人緑の風理事長)▽鈴木健太氏(社会福祉法人友愛十字会・法人本部事務局介護生産性向上推進室長)▽樋口幸雄氏(社会福祉法人京都ライフサポート協会理事長)▽山室淳氏(社会福祉法人一燈会理事長)─が出席し、それぞれの分野でのテクノロジーの導入やタスクシフト、共同化等による生産性向上や賃上げに向けた取り組みを紹介。その後、政府との質疑応答・意見交換を行った。
質疑応答では、石破茂首相が、「現場の生産性向上や賃上げ、働きがいにはどのようなものが必要か」と質した。
これに対し、樋口氏は、「介護や障害福祉の報酬改定は、3年に1度のサイクルとなっているが、急激な物価高騰等に対応できない」と述べ、柔軟な仕組みが必要との考えを示した。
また、赤澤亮正内閣府特命担当大臣が、「医療DXにより、現場の働き方はどのように変わったのか」と質問。
これに対し、島貫氏は、「情報共有が生産性向上や医療安全につながっており、これが働き方改革に寄与している」と発言。合わせて、電子処方箋の活用についても言及し、月150件の重複投薬・併用禁忌の発見につながっていると説明した。
締めくくり発言では石破首相が、「医療・介護・障害福祉の仕事への従事は使命感だけでは難しく、働きがいをどのように確保するかが重要」と強調。
そのうえで、普遍化していない経営上の工夫や生産性向上の取り組みに関する好事例について、今後、制度の改善を含め、広め方を考えていく必要があるとの認識を示した。
車座終了後に記者会見した福岡資麿厚生労働相は、「首相から、令和6年度補正予算における生産性向上、さらなる賃上げの支援が現場に確実に届くよう取り組むこと、物価や賃金の動向が経営状況に与える影響について報酬改定や補正予算の効果も含め、実態をよく把握し適切に対応すること等の指示を受けた」と言及。
合わせて、医療・介護・障害福祉分野における生産性向上のため、「省力化投資促進プラン」を今春を目途に策定し、事業者の取り組みを力強く後押しするよう指示があったと説明した。
そのうえで、「厚労省として、現場の状況を適切に把握しながら賃上げや生産性向上が進むよう、適切に取り組んでいきたい」との考えを示した。