健保ニュース
健保ニュース 2025年3月上旬号
OTC類似薬の保険適用外など
日本維新の会 社会保険料を下げる改革案
医療費を年間で4兆円超削減
日本維新の会は2月19日の役員会で、「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」を承認し、2月20日に公表した。
「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」は、2月13日に開催された「社会保険料を下げる改革会議」が初期的成果として取りまとめたもので、国民の医療費の総額を年間で最低4兆円削減し、現役世代1人当たりの社会保険料負担を年間6万円引き下げることをめざす。
日本維新の会は今後、最低でも削減額が4兆円以上となる改革の具体策を精査し、6月末までに最終案を取りまとめる予定とした。
「社会保険料を下げる改革案(たたき台)」は、国民医療費は年間46兆円に達し、年間1兆円規模で増え続けていると指摘。現役世代に課せられる社会保険料の負担は限界に達し、若者から結婚や子育てをする自信を奪い、少子化という新たな社会問題を深刻化させる要因になっていると危機感を露わにした。
そのうえで、国民の手取りを考える際に重要なのは社会保険料を下げることと主張し、①医療介護産業の生産性革命②持続可能な水準の応能負担─を改革の方向性として提言。
①は、医療産業全体の効率化を進めていくため、デジタル化により実態を正確に把握し、適切な対処を行うためのデータ収集が可能な環境を構築するほか、オンラインやAIによる診療の推進などにより、医療の生産性を高め、病院や医者への負担、負荷を減らすための大胆な規制改革を行う。
②は、実際の負担能力に応じた社会保険料負担を深化させていくことに加え、健康で医療サービスを使わない人は保険料負担が下がるような保険原理の適用も併せて検討。また、社会保険料の負担能力を正確に把握するため、マイナンバー制度を活用して受益と負担の把握ができる状態を1日も早く実現するとした。
この2つの改革の方向性に沿って、合計で最低でも削減額が4兆円以上となる具体策を6月末までに取りまとめる方針を示した。
令和8年度から実現が可能な(1)OTC医薬品の活用によるセルフメディケーションの促進(2)医療費窓口負担および高額療養費負担限度額の所得区分判定の見直し(3)電子カルテとパーソナル・ヘルス・レコードの完全普及─の施策について、政府を含む様々な関係者との協議を踏まえ先行的に実施する。
(1)は、厚労省の処方箋使用の推奨通知により、実態として公的保険の対象になっているOTC類似薬を保険適用から除外。保険対象外とする具体的な品目については、当該医薬品の特性や使用者等を考慮したうえで定めるとした。
(2)は、医療費の窓口負担割合および高額療養費の自己負担限度額を定める所得区分の判定をより実態に即したものに改め、社会保険の応能負担における不平等を是正していく。
(3)は、医療介護産業の効率化の基盤となるデジタル化のセンターピンとして、電子カルテの普及率を100%に近い水準まで引き上げるほか、PHRを整備し、1国民1カルテ体制を構築することで、医療の効率性と質を向上させるとした。