HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2025年2月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2025年2月中旬号

協会けんぽ・7年度都道府県保険料率
支部間格差は最大で1.34ポイント
28支部が料率引き上げ

全国健康保険協会運営委員会(委員長・田中滋埼玉県立大学理事長)は1月29日、協会けんぽの令和7年度都道府県単位保険料率を了承した。前年度に比べ、引き下げが18支部だった一方、引き上げは28支部で、24支部が引き上げとなった6年度より保険料率を引き上げた支部は増加。都道府県単位保険料率には、年齢・所得の調整やインセンティブ制度による加・減算を反映しており、料率が最高の佐賀支部と最低の沖縄支部の支部間格差は1.34ポイントで、前年度と比較して0.27ポイント増加した。

この日の全国健康保険協会運営委員会が了承した令和7年度における都道府県支部別の健康保険料率(「都道府県単位保険料率」)は、前年度と比べ、▽引き上げが28支部(6年度は24支部)▽引き下げが18支部(同22支部)▽変更なしが1支部(同1支部)─で、大分支部を除く46支部で料率の変動があった。

都道府県単位保険料率が平均保険料率の10.0%を超えたのは22支部で、前年度より2支部増加。なお、平均保険料率と同率の支部は0支部だった。

保険料率の高い支部は、佐賀(10.78%)、徳島(10.47%)、長崎(10.41%)、山口(10.36%)の順。一方、保険料率の低い支部は、沖縄(9.44%)、新潟(9.55%)、岩手・福島(9.62%)、富山(9.65%)の順となる。

最高料率の佐賀支部と最低料率の沖縄支部の支部間格差は1.34ポイントで、前年度と比較して0.27ポイント増となり、差は拡大した。今回の7年度都道府県単位保険料率の了承を受け、佐賀支部は平成23年度以降15年連続で最高料率の支部となる一方、沖縄支部は初めて最低料率の支部となった。

前年度からの引き上げ幅が大きい支部は、青森・佐賀(0.36ポイント)、徳島(0.28ポイント)の順。一方、引き下げ幅の大きい支部は、奈良(▲0.20ポイント)、熊本(▲0.18ポイント)、香川(▲0.12ポイント)などとなっている。

令和7年度の医療分の収支見込みでは、収入が11兆9963億円で、内訳は保険料収入10兆7774億円、国庫補助等1兆1919億円。支出が11兆5362億円で、内訳は保険給付費7兆3757億円、前期高齢者納付金1兆2859億円、後期高齢者支援金2兆4831億円などとなっている。経常収支は4601億円の黒字を見込んでおり、単年度の収支が均衡する保険料率は9.57%。準備金残高は6兆2166億円に拡大する見込み。

他方、6年12月23日の運営委員会では、医療費の伸びが賃金の伸びを上回る財政の赤字構造が解消されていないことや加入者の平均年齢の上昇による保険給付費の継続的な増加、団塊の世代がすべて後期高齢者に移行したことによる後期高齢者支援金の増加、被用者保険適用拡大による財政負担などの要因等を踏まえ、平均保険料率は10.0%とする意見を集約。全国平均保険料率10.0%を維持する前提で7年度の収支を見込んだ。

都道府県単位保険料率は都道府県支部ごとの医療給付費にかかる所要保険料率に年齢・所得調整を行ったうえで、現金給付費や前期高齢者納付金等、保健事業費などにかかる保険料率(4.65%)を全支部一律で加算し、インセンティブ制度による減算を反映する。

インセンティブ制度は、特定健診・保健指導の実施率や後発医薬品の使用割合などをもとに都道府県支部ごとの保健事業の評価を都道府県単位保険料率に反映する。

7年度における同制度の影響は、保険料を負担する支部が0.010ポイント増、最も減算の大きい支部(山形支部)が0.148ポイント減となる。

7年度の都道府県単位保険料率の変更に対する各支部長の意見をみると、▽「妥当」、「容認」が23支部(前年度24支部)▽「やむを得ない」が24支部(同23支部)▽「反対」0支部(同0支部)─となっている。

委員からは、都道府県単位保険料率について特段意見はなかった一方で、「インセンティブ制度の妥当性についての検証」、「今後の準備金の方向性に関する議論」を求める意見があった。

また、この日の運営委員会では、7年度の船員保険の保険料率についても承認された。一般保険料率は前年度から維持する一方で、疾病保険料率の被保険者負担率は前年度の4.85%から4.95%へ引き上げる。その他、介護保険料率は前年度比0.02%減の1.57%とした。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年