HOME > けんぽれんの刊行物 > 健保ニュース > 健保ニュース 2025年2月中旬号

健保ニュース

健保ニュース 2025年2月中旬号

医師偏在是正や支払基金改組など
自民党厚労部会 医療法等の改正案を了承
2月中旬に国会へ提出

自民党の厚生労働部会(長坂康正部会長)は1月30日、保険者からの拠出による重点確保区域の医師への手当支給事業や社会保険診療報酬支払基金の組織体制の見直しなどを盛り込んだ「医療法等の一部を改正する法律案」の法案審査を行い、部会長一任で了承した。法案は、▽地域医療構想の見直し等▽医師偏在是正に向けた総合的な対策▽医療DXの推進─を柱とし、関連する医療法、健康保険法、支払基金法等を一括改正。一部を除き令和9年4月1日から施行する。2月中旬の国会提出をめざし、与党内の法案審査を進めていく。

予算関連法案として2月中旬に国会へ提出する「医療法等の一部を改正する法律案」は、①地域医療構想の見直し等(医療法、地域における医療および介護の総合的な確保の促進に関する法律等)②医師偏在是正に向けた総合的な対策(医療法、健康保険法、総確法等)③医療DXの推進(総確法、社会保険診療報酬支払基金法、感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律等)─を柱とし、一部を除き令和9年4月1日に施行する。

高齢化に伴う医療ニーズの変化や人口減少を見据え、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の構築をめざす。

このうち、①は、地域医療構想について、2040年頃を見据えた医療提供体制を確保するために、▽病床のみならず、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想とする▽医療機関機能(高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能等)報告制度を設ける─等の見直しを実施。

また、「オンライン診療」を医療法に定義し、手続き規定やオンライン診療を受ける場所を提供する施設にかかる規定を整備するほか、美容医療を行う医療機関における定期報告義務等を設ける。

②は、都道府県知事が医療計画において「重点的に医師を確保すべき区域」を定めることができることとするとともに、保険者からの拠出による当該区域の医師の手当の支給に関する事業を設ける。

また、外来医師過多区域の無床診療所への対応を強化(新規開設の事前届出制、要請勧告公表、保険医療機関の指定期間の短縮等)するほか、保険医療機関の管理者について、保険医として一定年数の従事経験を持つ者であること等を要件とし、責務を課すこととした。

③は、社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営にかかる母体として、名称、法人の目的、組織体制等の見直しを行う。

診療報酬の審査支払業務と医療DX業務の両方を担う法人とするため、名称を「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」に見直す。

医療DX業務への国のガバナンスを発揮するために、厚生労働大臣が医療DXを推進するための「医療情報化推進方針」を定め、支払基金は医療DXの「中期計画」を定めることとした。

柔軟かつ一元的な意思決定体制に向けては、現行の理事会(4者構成16人)に代えて、「運営会議」を設置。法人の意志決定を行い、業務の執行を監督する。審査支払に関する予算・決算や事業計画等は、新たに設ける「審査支払運営委員会」で決定するとした。

他方、全国の医療機関等において、電子カルテ情報を共有・閲覧することができるようにし、▽医療機関等は3文書6情報を支払基金等に電子的に提供することができる▽支払基金等は3文書6情報を電子カルテ情報共有サービス等以外の目的には使用してはならない▽システムの運用費用は医療保険者等が負担する─等の内容を法律に規定。

患者が自身のマイナポータルで健診結果報告書や6情報を閲覧できるようにするとともに、医療保険者にも健診結果報告書を電子的に共有するとした。

けんぽれんの刊行物
KENPOREN Publication

2025年
2024年
2023年
2022年
2021年
2020年
2019年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年
2013年
2012年
2011年
2010年