健保ニュース
健保ニュース 2025年2月上旬号
電子処方箋の普及状況を踏まえ
医療機関 今夏目途に目標期限見直し
「医療DX令和ビジョン2030」厚生労働省推進チーム(チーム長・福岡資麿厚労相)は1月22日、会合を開催し、①2040年に向けた医療提供体制の総合的な改革における医療DXの制度的対応②電子処方箋の現況と今後の対応③病院の情報システムの刷新にかかる方向性─をテーマに議論した。
このうち、①は、医療DXに関する主な見直し内容について、(1)電子カルテ情報共有サービス関係(2)PMH(自治体と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤)関係(3)医療情報の二次利用関係(4)支払基金の抜本改組関係─に整理。
(1)は、運用費用の負担者・負担方法など電子カルテ情報共有サービスを法律に位置づけるとともに、次の感染症危機に備えた対応を盛り込む。
(2)は、マイナ保険証1枚で医療費助成を受けられる仕組みを整備するほか、自治体検診情報の医療機関等への電子的共有を可能とする。
(3)は、厚労相が保有する医療・介護の公的DBにかかる仮名化情報の利用・提供や、仮名加工医療情報との連結解析を可能とする。
(4)は、厚労相が「医療DX総合確保方針(仮称)」を策定し、支払基金が「医療DX中期計画(仮称)」を策定することを明記するほか、支払基金の名称、目的、業務規程、現行の理事会体制を見直す。
厚労省は、(1)地域医療介護総合確保法、感染症法等(2)公費負担医療制度各法、支払基金法、健康増進法等(3)地域医療介護総合確保法、がん登録推進法、児童福祉法、難病法、感染症法、健康増進法、次世代医療基盤法等(4)支払基金法等─の改正を視野に入れる。
②は、電子処方箋の普及目標である令和7年3月までに薬局は約8割弱、医療機関は約1割弱の導入にとどまる現状を踏まえ、▽導入されていない医療機関等に対するフォローアップ▽さらなる導入策の措置▽機能の追加実装の一時停止▽医療機関等における利活用状況や効果等の調査─に取り組む。
そのうえで、医療機関における電子処方箋の新たな目標について、7年夏を目途に期限の見直しを行う方針を示した。
このほか、昨年末からの電子処方箋システム一斉点検の実施を踏まえ、7年夏を目処に、電子処方箋管理サービスにおけるシステム改修を終えるほか、医薬品コードの仕組みの在り方について今後の方向性を整理するとした。
③は、情報セキュリティ対策を向上させながら、病院の情報システム費用の低減・上昇抑制を図り、経営資源を医療提供に振り向けられる体制を整備するほか、各病院が生成AI等の最新技術やサービスを活用しやすくすることで、医療従事者の負担を軽減しながら、より安全で質の高い医療の実現をめざす方向性を示した。
会合の冒頭あいさつした福岡厚労相は、日本は今後、85歳以上高齢者の増加に伴い、救急搬送や在宅医療の増加が見込まれることに加え、生産年齢人口の減少に伴い、医療従事者の確保も課題となっていると指摘。
今後とも良質かつ効率的な医療提供体制を構築していくためには医療DXの推進が不可欠と強調し、「医療法等の一部を改正する法律案」の次期通常国会への提出に向けて検討を進めていく意向を示した。
他方、「医療DXの実現には様々な課題や困難がある」と言及したうえで、質の高い医療を効率的かつ効果的に提供できるよう、厚労省が一丸となって積極的に取り組んでいくとした。