健保ニュース
健保ニュース 2025年2月上旬号
今国会への厚労省提出予定法案
医療法等改正案など6法案
厚生労働省は1月23日に開催された自民党・厚生労働部会(長坂康正部会長)に、今国会への提出を予定する同省所管の法案の概要を報告した。医師偏在是正に向けた総合的な対策等を盛り込む「医療法等の一部を改正する法律案」(医療法等改正案)など6本の法案提出を予定する。このほか、「ヒトゲノム編集胚等の取扱いの規制に関する法律案(仮称)」を検討中とした。
医療法等改正案は、高齢化に伴う医療ニーズの変化や人口減少を見据え、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するため、①地域医療構想の見直し等②医師偏在是正に向けた総合的な対策③医療DXの推進─を柱に位置づける。
①では、地域医療構想について、2040年頃を見据えた医療提供体制を確保するため、▽病床のみならず、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想とする▽医療機関機能(高齢者救急・救急急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能等)報告制度を設ける─などの見直しを行う。
また、「オンライン診療」を医療法に定義し、手続規定やオンライン診療を受ける場所を提供する施設に係る規定を整備するほか、美容医療を行う医療機関における定期報告義務等を設ける。
②では、▽都道府県知事が、医療計画において「重点的に医師を確保すべき区域」を定めることができることとし、保険者からの拠出による当該区域の医師の手当の支給に関する事業を設ける。また、▽外来医師過多地域の無床診療所への対応を強化(新規開設の事前届出制、要請勧告公表、保険医療機関の指定期間の短縮等)する▽保険医療機関の管理者について、保険医として一定年数の従事経験を持つ者であること等を要件とし、責務を課す─こととした。
③では、必要な電子カルテ情報の医療機関での共有等や、感染症発生届の電子カルテ情報共有サービス経由の提出を可能とするほか、社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営に係る母体として名称、法人の目的、組織体制等の見直しを行う。
また、厚生労働大臣は、医療DXを推進するための「医療情報化推進方針」を策定することとした。
2月中旬の国会提出をめざす。
合わせて、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(薬機法等改正案)」についても2月中旬の国会提出を予定。
薬機法等改正案は、不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不安や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供していくため、▽医療用医薬品供給体制管理責任者(仮称)の設置▽出荷停止時の届出義務付け▽供給不足時の供給確保措置の指示等の法定化▽電子処方箋管理サービスのデータを活用した需給状況のモニタリングの実施─など、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等をはじめとする必要な措置を講じる。
他方、3月上旬の国会提出をめざす、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律案」では、働き方に中立的で、ライフスタイル等の多様化を踏まえた年金制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定および所得再分配機能の強化を図るための公的年金制度の見直しなどを実施。
このうち、被用者保険の適用拡大等では、▽短時間労働者の被用者保険の適用に係る要件のうち、賃金要件および企業規模要件を撤廃する▽常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種を解消し、被用者保険の適用事業所とする▽労使の判断で被用者保険の適用に伴う保険料負担を軽減することができるよう、必要な措置を講じる─等の見直しを盛り込む。
このほか、▽戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案(2月上旬)▽労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案(3月上旬)▽労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案(3月中旬)─の提出を予定している。
政府は今後、与党の審査で承認を得られた法案を閣議決定し、国会に提出する。