健保ニュース
健保ニュース 2025年1月下旬号
7年度薬価改定に対応
中医協 算定基準見直しを承認
中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は15日の総会で、令和7年度の薬価改定に対応した薬価算定基準の見直しを承認した。
昨年12月25日の中医協総会で了承した「令和7年度薬価改定の骨子」の内容を具体化したもので、対象品目や改定方式、適用する算定ルールなどを明記した。
市場実勢価格の薬価に対する乖離率がすべての既収載品の平均乖離率に、▽新薬創出等加算の対象品目:1.0▽新薬であって、当該新薬に係る後発品が薬価収載されていないもの:0.75▽新薬であって、当該新薬に係る後発品が薬価収載されているもの:0.5▽後発品:1.0▽医薬品医療機器等法の規定により昭和42年9月30日以前に承認された既収載品:1.0─の係数を乗じて得た乖離率を超える既収載品(6年10月以降、新規に薬価収載基準に収載された品目を除く)を対象に、調整幅(改定前薬価の2/100に相当する額)を追加した市場実勢価格加重平均値調整幅方式により算定する額に改定する。
他方、適用する算定ルールのうち、「最低薬価」については、基礎的医薬品の薬価が最低薬価を下回る場合、最低薬価に改定すると明記。
「不採算品再算定」では、現下の感染症の急拡大を踏まえ、感染症法にもとづく平時からの報告徴収を求めている解熱・鎮痛薬等についても、不採算品再算定の対象とすることとした。
総会に先立ち開催された薬価専門部会では、健保連の松本真人理事が、最低薬価について、「消費税引き上げに伴う薬価改定以外では初の本格的な見直しであり、改定後は3%程度の薬価の底上げとなっている」と指摘する一方、「今後インフレが続いた場合に、同様の見直しが自動的に行われるということではない」と言及。合わせて、最低薬価を薬価の下限値とし、薬価差益の調整弁とならないよう強く要望した。
不採算品再算定の対象品目に解熱・鎮痛薬等が追加されたことについては、告示前の期間に、厚労省の判断でさらなる対象品目の追加がないよう留意を求めた。
松本理事の意見に対し、厚労省は、「最低薬価の見直しは、自動的に行うのではなく、その都度議論していく」と応答。最低薬価の引き上げに伴う実勢価等の動向については、中医協で報告していく考えを示した。
不採算品再算定のさらなる対象品目の追加は、「基本的に考えていない」との認識を示した。