健保ニュース
健保ニュース 2025年1月中旬号
特別給付事業運営委員会が初会合
産科医療補償制度 複数委員が影響を懸念
日本医療機能評価機構の産科医療特別給付事業運営委員会(委員長・尾形裕也九州大学名誉教授)は12月25日に初会合を開いた。
厚生労働省からの要請にもとづき、日本医療機能評価機構が特別給付事業の運営組織としての役割を担うことから、審査、 給付等の運営状況および収支決算について、広く社会に公表するために同委員会を新設。このほか、特別給付事業審査および異議審査委員会を新設した。
特別給付事業は、国で定めた実施要綱にもとづき、令和7年1月10日に申請受付開始できるよう、 給付申請、審査、給付、システム、 周知等の事業運営に向けた準備を進めている。
なお、損害保険契約にかかる保険料、特別給付事業にかかる人件費や事務経費は、産科医療補償制度において損害保険会社から運営組織に返還された保険料により賄うとした。
運営組織は毎年、厚労省および保険者に対し、予算編成にかかる説明を行うとともに、同委員会等において報告・公表。決算に関する書類を作成し、厚労省に提出する。
特別給付事業の財源は、産科医療補償制度の返還保険料を区別して管理し、特別給付事業の運営を終了する時点で生じた残額は、産科医療補償制度の財源に戻し入れる。
特別給付事業の給付対象者数は、7年1月10日~11年12月31日までの5年間で計1627人(推計区間847人~2680人)と推計。
産科医療特別給付事業の予算額は、推計区間の上限にもとづき、2680人×1200万円(1人当たり補償額)+事務経費約25億円≒350億円とした。なお、運営組織および保険会社の特別給付事業実施に伴う5年間の事務経費は、それぞれ運営組織が1700万円、保険会社が613万円と見積もった。
複数の委員から、▽特別給付事業の創設が特例との定めがなく、今後の前例とされてしまうのではないか▽剰余金の半分以上を補償に充て、事務費も生じる特別給付事業は、安定的な制度運営の面から今回限りにすべき▽過去の医療を現在の最新の基準で判断するのは、当時の医療水準を考慮しても医学的に限度がある─など今後の産科医療補償制度の運営への影響を懸念する意見が多数挙がった。
事務局は、「産科医療補償制度は過去に遡及させるものではない」としたうえで、「そのために健康保険法の大臣告示で産科医療特別給付事業を大臣が定める事業として新たに規定した」と説明。「産科医療補償制度とは別に定められているもの」と強調した。また、同制度の見直しは、別に設置する検討会で行う方針を示した。