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健保ニュース 2025年1月中旬号

入院時の食費基準額引き上げ等
中医協 大臣合意受け期中改定議論

中央社会保険医療協議会(小塩隆士会長)は12月25日、薬価の中間年改定の年に行う期中の診療報酬改定をテーマに議論した。

同日の加藤勝信財務相と福岡資麿厚生労働相による令和7年度政府予算編成の大臣折衝合意を踏まえた診療報酬上の対応で、①入院時の食費の基準②歯科衛生士や歯科技工士のタスクシフト、手間への評価③長期収載品の選定療養化や医薬品供給不安に伴う服薬指導の評価─を見直す。厚労省は、7年4月からの実施を念頭に対応を進めていく考えを示した。

このうち、①は、6年度診療報酬改定で1食当たり「30円」の引き上げを行った入院時の食費に対し、食材費等の高騰が続いていることを踏まえ、医療の一環として提供されるべき食事の質を確保する観点から、1食当たり「20円」引き上げる。

「入院時食事療養Ⅰ(1食につき)」は現行の「670円(流動食のみを提供する場合605円)」を「690円(同625円)」に、「入院時食事療養Ⅱ(1食につき)」は現行の「536円(流動食のみを提供する場合490円)」を「556円(同510円)」に見直す。

また、「入院時生活療養Ⅰ」は現行の「584円(流動食のみを提供する場合530円)」を「604円(同550円)」に、「入院時生活療養Ⅱ(1食につき)」は現行の「450円」を「470円」にそれぞれ引き上げる。

②は、現下の高齢化の進展等により歯科診療のニーズが増加しているなか、歯科診療所等でより専門的な業務を行う歯科衛生士および歯科技工士を確保し、限られた人材で歯科医療を効率的に提供する観点から、歯科衛生士および歯科技工士の業務にかかる評価を見直す。

具体的には、「歯科衛生実地指導料 口腔機能指導加算」の現行点数「10点」を「12点」へ増点。また、「歯科技工士連携加算1」は「50点」を「60点」、「歯科技工士連携加算2」は「70点」を「80点」へと現行点数に10点を上乗せする。

③は、6年10月1日から長期収載品の選定療養が施行され、患者への説明など保険薬局の業務負担がさらに増加していること等を踏まえ、「特定薬剤管理指導加算3ロ」の評価(現行5点)を「10点」へと倍増する。

健保連の松本真人理事は、「今回は、いずれも6年度診療報酬改定で対応した項目であり、改定の効果を検証したうえで見直しの判断を行うことが本来の中医協における議論の進め方だ」との考えを示した。

そのうえで、①については、今回の引き上げを踏まえ、食事の質の低下を招かないようにするとともに、患者が納得できる丁寧な説明を行うよう要望。

②については、「今回の措置は現状においても不足している歯科衛生士や歯科技工士の離職を防ぐための緊急的措置」との認識を示した。

③については、「健保組合に対しても加入者から実際の金額の計算方法の問い合わせがきている」と言及し、関係者それぞれが苦労していることに理解を求めた。

また、6年度診療報酬改定で、「特定薬剤管理指導加算3ロ」を新設する議論のなかで、長期収載品から後発医薬品に切り替わらなかった場合も算定できることに疑問を呈した経緯を指摘。8年度診療報酬改定に向け、長期収載品の選定療養の基準と合わせて、同加算の立て付けについて議論を進めるべきとの考えを示し、厚労省に対して、実態を把握しつつ、議論の準備を進めるよう要請した。

診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「医療現場では食材費を抑えるため、冷凍食品や加工食品でやりくりするなどの工夫を強いられ、新鮮な食材を使えないばかりか、光熱費等の物価高騰も経営を非常に厳しくし、医療の質を確保することが難しい状況となっている」と述べ、「時宜に即した評価」との受け止めを示した。

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