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健保ニュース 2025年1月中旬号

医師偏在是正へ対策パッケージ
偏在区域医師手当 増額支援は保険者負担
効果等を確認する枠組み検討

厚生労働省医師偏在対策本部(本部長・福岡資麿厚労相)は12月25日、「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージ」を策定した。厚労省は、必要な制度改正を行うため、来年の次期通常国会への関連法案の提出をめざし、具体的な手続きについて調整を進めていく意向を示した。

「総合的な対策パッケージ」は、社会保障審議会の医療保険・医療両部会や新たな地域医療構想等に関する検討会におけるこれまでの議論を踏まえた内容。

地域ごとに人口構造が急激に変化するなかで将来にわたり地域で必要な医療提供体制を確保し、適切な医療サービスを提供するため、制度改正を含め必要な対応に取り組み、実効性のある総合的な医師偏在対策を推進する。

総合的な医師偏在対策について、医療法にもとづく医療提供体制確保の基本方針に位置づけることとした。

「対策パッケージ」は、▽経済的インセンティブ、地域の医療機関の支え合いの仕組み等を組み合わせた総合的な対策▽中堅・シニア世代を含むすべての世代の医師にアプローチ▽従来のへき地対策を超えた取り組み─の実施を基本的な考え方とし、「保険あってサービスなし」という地域が生じることなく、将来にわたって国民皆保険が維持されるよう、国、地方自治体、医療関係者、保険者等のすべての関係者が協議して医師偏在に取り組むとした。

医師偏在対策の効果について、施行後5年を目途に検証し、十分な効果が生じていない場合には、さらなる医師偏在対策を検討。医師確保計画により3年間のPDCAサイクルに沿った取り組みを推進する方針を示した。

具体的な取り組みは、①医師確保計画の実効性の確保②地域の医療機関の支え合いの仕組み③地域偏在対策における経済的インセンティブ等④医師養成過程を通じた取り組み⑤診療科偏在の是正に向けた取り組み─。

このうち、③は、重点医師偏在対策支援区域における医師確保を推進するため、都道府県の医師偏在是正プランにもとづき経済的インセンティブを講じることとし、医師偏在是正プラン全体の策定に合わせて、令和8年度から経済的インセンティブを本格的に実施する。

8年度政府予算編成過程で、▽当該区域で承継・開業する診療所の施設整備、設備整備、一定期間の地域への定着に対する支援(緊急的に先行して実施)▽当該区域における一定の医療機関に対する派遣・従事医師への手当増額の支援▽当該区域内の一定の医療機関に対する土日の代替医師確保等の医師の勤務・生活環境改善の支援、当該区域内の医療機関に医師を派遣する派遣元医療機関に対する支援─について検討。

重点医師偏在対策支援区域における支援のうち、当該区域の医師への手当増額の支援については、すべての被保険者に広く協力してもらうよう、保険者からの負担を求めることとし、医師への手当増額の支援は診療報酬を代替するものであることを踏まえ、給付費のなかで一体的に捉える。

当該事業の実施について、保険者が実施状況や効果等を確認するための枠組みを検討。また、医師偏在への配慮を図る観点から、診療報酬でどのような対応が考えられるか、さらに必要な検討を行うとした。

会合であいさつした福岡厚労相は、「医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージに盛り込んだ基本的な考え方や取り組みは関係者との共通認識のもと、シナジーを発揮して効果的に推進されるよう、医療法にもとづく医療提供体制の確保に関する基本方針に位置づけることとした」と言及。

パッケージにもとづく医師偏在対策が着実に進められるよう、強い覚悟を持って部局横断で連携するとともに、すべての関係者と一丸となって取り組むよう、関係部局に指示した。

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